ABC検診のギモン*ピロリ菌検査もできる
血液検査で「ピロリ菌感染」と「ペプシノゲン検査」を行い、将来の胃がんリスクを判定できる「ABC検診」。A・B・C・D・E分類それぞれの違いと、内視鏡検査の必要有無、「ABC検診」に関する素朴なギモンとその回答をまとめました。
ある女性のビデオメッセージ
この記事は、先日知ったこのツイートをきっかけに投稿しました。「ピロリ菌検査の受診」を呼びかけています。
2カ月前、妻 @30miyuta がステージIVの胃癌と宣告されました。30歳になったばかりで突然のことでした。転移のため完治は見込めず、次の誕生日を迎えられるかわかりません。同じような思いをする人を減らしたいという妻の気持ちをビデオメッセージにしました。 #世界対がんデー pic.twitter.com/1izg12NxgJ
— koher (@koher) 2019年2月4日
双子のお子様を持ちながら30歳と言う若さでの胃癌宣告、とてもお辛い状況の中でのご夫婦の勇気あるビデオメッセージです。
・若いという理由でピロリ菌検査は受けていなかった
・胃癌と診断された今も食欲もあり、胃の不調もない
”検査を受けていたら生きられたのに。そんな悔しい思いをする人が一人でも減ることを祈っています。”
このサイトでも、人間ドッグでのABC検診について以前記事にした事がありますが、今回はもう少し詳しく「ABC検診(&ピロリ菌検査)」についてご紹介したいと思います。
胃がんリスク判定ができるABC検診
ABC検診は血液検査だけで
- ヘリコバクターピロリ菌の感染検査
- 萎縮性胃炎の有無(血中ペプシノゲン)
を調べて将来の胃がんリスクを判定できる検査です。(現在胃がんかどうかを診断するものではありません。)
この判定結果により、胃がんに対して「超低リスク群(A)」と「高リスク群(B~)}を分別して、精密検査を受けるべき対象者を絞り込むことができます。
ABC検診のA・B・C・D分類
ピロリ菌 | ペプシノゲン | 胃癌発生頻度(/1年) | |
---|---|---|---|
A分類 | 陰性 | 陰性 | 1000人中ほぼ0人 |
B分類 | 陽性 | 陰性 | 1000人中1人 |
C分類 | 陽性 | 陽性 | 1000人中2人 |
D分類 | 陰性 | 陽性 | 1000人中12.5人 |
ピロリ菌が「陰性」のD分類の方が胃癌リスクが高いのは、ピロリ菌感染期間が長すぎたため、ピロリ菌が生存できなくなるほどに胃粘膜の萎縮が進んでしまっているからです。
(ピロリ菌除菌済みでもすでに胃粘膜の萎縮が進んでしまっているE分類もあります。)
ピロリ菌検査だけでは不十分
「①ピロリ菌感染有無」 「②胃粘膜の萎縮」の双方を検査するABC検診が、胃がんリスク検査には有効です。
現在では、胃がんの原因の99%はピロリ菌の感染と言われていますが、ピロリ菌検査で「陰性」だとしても胃がんリスクは0ではありません。
先に述べた、ABC検査の「D(E)分類」のようにすでにピロリ菌に感染していた場合もあるからです。(除菌済みでも胃がんリスクは残る。)
ABC検診後の内視鏡検査の必要有無
胃がんのための内視鏡検査の必要有無についてはこのように判断できます。
A群
原則今後の内視鏡検査は必要なし。高齢者(ピロリ菌感染は50代以降の高齢者に多いため)と自覚症状がある人は念のために内視鏡検査を1度は実施。
B・C・D群
内視鏡検査が必要(胃がんを除外診断した後にB・C群はピロリ菌除去も)。その後も定期的な内視鏡検査が必要。
ABC検診についてのギモン
ABC検診を受けた私自身でも、理解が足らずに疑問に感じていた点を調べてまとめてみました。
A群なら一生、バリウムや胃カメラはしなくて良い?
胃がんの原因であるピロリ菌感染は4歳以下で起こるため、無症状のA群であれば胃がんリスクは極めて低く、原則としてバリウムや内視鏡精査の必要はない。
ABCリスク検診をするなら、バリウム検診はしなくて良い?
高リスク(BCD群)と診断された場合に内視鏡検査ができるなら、ABCリスク検診とバリウム検診の両方を受ける必要はない。
ポリープがある場合バリウム検査とABC検診はどちらを選べばよい?
がん化しない胃底腺ポリープであれば、ABC検診を受診してピロリ菌感染がないことを確認する。
リスクが重いC判定だった場合、100%がんがある?
ABC検診は、胃がんがあるかどうかを診断するものでは無いので、高リスク(BCD群)と診断された場合には胃がん発見のために定期的な内視鏡検査を受け、リスクを下げるためにピロリ菌除菌を行う。
ABC検診は生涯で1回受ければ十分?
成人のABC分類は原則として変化ないため、ABC検診は生涯に一度の受診で良い。ボーダー変動の可能性もあるので5年おきに再検してもよい。
ABC検診は年齢制限にある?
実施年齢に制限はないが、無症状の未成年なら尿検査だけでできるピロリ菌検査だけでも良い。ピロリ菌感染リスクの高い高齢者(特に後期高齢者世代)はABC検診だけでは不十分のため、一度は内視鏡検査を実施。
ABC検診でピロリ菌が陽性だった場合、保険診療で除菌できる?
内視鏡検査を行った上でならBC群に対するピロリ菌除菌は保険診療で行える。(除菌療法のみなら自由診療になる)
B判定だったがピロリ菌除去をしA判定になった場合どちらを優先するべき?
一度でも、「感染有り・感染既往あり」と診断された場合は、その後の検査によらず有リスク群として扱うべき。
上記内容は下記サイトの一部を抜粋しまとめました。
自宅でABC検査・ピロリ菌検査
できるかぎり医療機関での検査をおすすめしますが、検診の予約が面倒、どうしても検診に行く時間がない場合は郵送キットを利用して
医師の方の購入レビューもありましたが、医療機関でABC検査を行う場合と、測定キットによる検査の誤差はほぼ無いようです。
・ペプシノーゲンI/II(胃粘膜の萎縮の程度チェック)
・ピロリ菌抗体(ピロリ菌抗体の検査)
私は、バリウム検査や胃カメラ(内視鏡)はずっと敬遠していましたが、体の負担や厳しい食事制限が無いABC検診で
がんは早期発見で生存率にも違いがでます。受けたことが無い方はぜひ簡単に検査できるABC検診を受けてください。
コメントの公開は管理者の承認制です (は空白不可)