
映画「闇の子供たち」感想:大人に見てほしい衝撃シーン多発
映画『闇の子供たち』2008年公開(監督:阪本順治/出演:江口洋介・宮崎あおい・妻夫木聡)のレビュー。内容・出演者・予告動画と感想と評価。
映画「闇の子供たち」の概要
国際映画祭での上映が中止された問題作 : ※PG12指定作品です。
原作は在日朝鮮人 小説家の梁 石日(ヤン・ソギル)の同名小説「闇の子供たち」。
梁 石日(ヤン・ソギル)さんと言えば、暴君極まりない在日朝鮮人の実父をモデルにした「血と骨」は父親をビートたけしが演じ映画化され、戦後の在日朝鮮人への差別や闇がリアルに描かれ話題になりました。
あらすじ
日本新聞社バンコク支局で、幼児人身売買を取材する記者・南部(江口洋介)は、日本人の子供がタイで心臓の移植手術を受けるという情報を得る。
臓器密売の元仲介者に接触した南部は、提供者の子供は生きたまま臓器を摘出されるという事実を知る。
南部はカメラマンの青年・与田(妻夫木聡)とボランティア組織の少女・音羽(宮崎あおい)と共に移植手術を止めさせようとするが……。
監督・脚本・公開年
監督・脚本 | 阪本順治 |
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原作 | 梁石日(ヤン・ソギル) |
公開 | 2008年 |
出演者
南部浩行(タイ在留の日本の新聞記者) | 江口洋介 |
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音羽恵子(NGO職員) | 宮崎あおい |
与田博明(フリーカメラマン) | 妻夫木聡 |
梶川克仁(タイで臓器移植する夫婦) | 佐藤浩市 |
梶川みね子(タイで臓器移植する夫婦) | 鈴木砂羽 |
清水哲夫(日本の新聞記者) | 豊原功補 |
予告動画
思わず目を背けたくなる重いテーマ
映画 「闇の子供たち」のキャッチコピーは
- 値札のついた命
- これは、「闇」に隠された真実の物語
貧困地域の子供たちに対して「人身売買」・「臓器売買」・「児童売買春」が日常的に行われているというショッキングな問題を提起した社会派作品です。
タイ国内・関係者から「事実との誤解を生む」という抗議や反発が起こり、「ノンフィクション」という宣伝文句は削除され、バンコク国際映画祭での上映も中止されました。
- 原作: 在日朝鮮人 社会派小説家の 梁 石日(ヤン・ソギル)
- この作品は「ノンフィクション」か「フィクション」か?
- キーワード: 人身売買・臓器売買・児童売買春・日本/タイ
ショッキングなシーンの連続
次々と衝撃的すぎるシーンが突きつけられます。
- 借金のカタに子供を売ったお金で親が家電を買っている
- 売買されているのは10歳未満の男児・女児
- 売春斡旋小屋で、子供が鎖に繋がれ暴力で支配されている
- 多くのバイヤーが子供時代は被害者だった過去がある
- 買い手のほとんどが、欧米や日本の富裕層である
- 日本人客が女児をホテルへ連れ込み性行為をネット配信している
稼げなくなった子供に対しても非道です。
- 男児が勃起を促すホルモン剤を過剰投与され死亡する
- プレイ中に死亡した子供がクレジットカードで買い取られた
- エイズに感染するとポリ袋に入れてゴミ山に捨てられる
- 瀕死の状態で帰郷しても、家畜同様の扱いを受けた後死亡する
このような裏にはマフィアが関係していて
- 子供が生きたままで臓器の買い手がつく(日本人)
- 人身売買の実態を追求するとマフィアに妨害・殺害される
もう悲壮感と絶望感、やるせなさでクラクラしてしまいます。
ムゴすぎる描写も
児童の臓器売買を南部とNGO団体が追求する様子と並行し、子どもたちの惨状(特に児童売買春)が、かなりしっかりと描かれています。
性暴力を受けるシーンは演じる子役(タイ人)に精神的ダメージを受けさせないように、
- 大人役と子役を同時に撮影しない
- 大人役の裸体を見せない
- ペドファイル(児童性愛者)役の俳優に触らせない
などの配慮がされた上で撮られているので、直接的な性行為シーンは無いのですが、子供視点・大人視点のカメラワークが逆にリアリティを増していて吐き気がするほどムゴイです・・・。
個人的な感想
ずばり、鑑賞中・鑑賞後もクラクラする作品です。
この作品は、あくまでもノンフィクションとして発表されましたが、タイに限らずこのような事が実際に起こっているのでは?・・・と個人的には感じました。なんか、それくらいリアルな描写。
作品内のセリフ「地図上で数センチ」しか離れていない国で、子どもたちがどんな目に合っているのか、その国で日本人はいったい何をしているのか。
「他所の国の知らない人間だけの話ではない」と訴えかける監督の思いが感じられるラストシーン。
この難しいテーマを、現地タイで撮影した制作陣の心意気にはあっぱれ。
あまりにも重すぎるテーマかつ残酷な描写が多いので見る人を選びますが、「見なければよかった」とは思えません。
できるだけ多くの大人が見て、それぞれに考えてほしい作品でした。
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