映画「東南角部屋二階の女」感想:予感通りの淡々系
映画「東南角部屋二階の女」の作品情報
放映:2008年 / 104分 / ジャンル: 邦画
原作 / あらすじ
監督は本作が劇場デビュー作となった池田千尋、また脚本を務めた大石 三知子も本作が脚本家デビュー作で東京芸大卒の同級生の共同作となる。
死んだ父親の借金を背負い、古アパートが建つ祖父の土地を売ろうとした僕。
理不尽な仕事から逃れようと突発的に会社を辞めてしまった後輩。
フリーの仕事もままならず、結婚でその不安を解消しようとする彼女。社会のどこにも属することなく、偶然取り壊し寸前のアパートに集まった3人。
予告動画
個人的感想・評価
タイトルや宣伝画像からも想像できる通りの、ごくごく地味で普通っぽい人たちのささいな日常を淡々と描いた群像劇。
15年前にひっそり(?)と公開されていた西島秀俊&加瀬亮共演のレア作品。
特に何も起こらず平たいストーリーなので好きな人には刺さるけれど、全てがふわっと描かれていて見た者の想像に任せるしか無い系なので期待値が高すぎると「つまらない」という感想を持つに違いないと思う。
言葉を選ばずに言えば、西島秀俊&加瀬亮のコアなファンでもない限りは、あえて見なくてもいいような作品。
まず驚くのは、画面が一昔前の(実際に一昔前だけれど)スタンダードサイズで、ザラッとした黄色味のノスタルジー風の画質なこと。この画質の悪さで早々に離脱してしまう人もいるかも知れないので、あえてこの演出を選んだ制作者の強いこだわりは感じる。
あっさりと現実の問題から逃げようとする青年らと、そうすることは許されなかった時代に生まれ、様々な過去や現実を受け入れながら生き続けてきた年長者らの対比が、取り壊し寸前の古アパートを中心に表現されているのは意外と非現実的で面白い。
実は、物語の主人公はこの青年らではなく、小料理屋の老女将 藤野(香川京子)と寡黙すぎる祖父・友次郎(高橋昌也)だったと思う。
またこの作中で祖父・友次郎(高橋昌也)は、なんと最期まで一言も発しず、目と表情だけで演技していたのが印象に残った。
今となっては、出演者のうち二人が(高橋昌也と竹花梓)が逝去されているというのも悲哀を誘う。
ストーリーテラー的な役割の畳屋の店主(塩見三省)の娘役(ワンシーンのみ)で伊藤沙莉、いつものアクを封印した赤堀雅秋が出演していたりキャスティングが作品に反して個性的だった。
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