映画「望み」感想:誰の気持ちになればいいか迷う新しい焦点
映画「望み」の作品情報
公開:2020年 / 108分 / ジャンル:邦画
原作 / あらすじ
原作は、『犯人に告ぐ』・『検察側の罪人』の雫井脩介 : 家族の形に焦点を当てた同名社会派ミステリー小説『望み』(2016年)
一級建築士の石川一登とフリー校正者の妻・貴代美は、一登がデザインを手掛けた邸宅で、高一の息子・規士と中三の娘・雅と共に幸せに暮らしていた。
規士は怪我でサッカー部を辞めて以来遊び仲間が増え、無断外泊が多くなっていた。高校受験を控えた雅は、一流校合格を目指し、毎日塾通いに励んでいた。
冬休みのある日、規士は家を出たきり帰らず、連絡すら途絶えてしまう。
翌日、一登と貴代美が警察に通報すべきか心配していると、同級生が殺害されたというニュースが流れる。
警察の調べによると、規士が事件に関与している可能性が高いという。
さらには、もう一人殺されているという噂が広がる。父、母、妹―それぞれの<望み>が交錯する。(C)2020「望み」製作委員会
予告動画
個人的感想・評価
- 夫婦ともに仕事で成功し、自らが建築した洒落た戸建てに出来の良い兄妹と4人暮らし
- 絵に描いたような幸せな家族の生活は、『息子の友人が殺害され犯人は逃走中』とのニュース速報で一変する
- 事件の夜から自宅に戻らない息子は殺人事件の犯人なのか被害者なのか?残された家族の望みは次第に交錯していき・・・という話
この捻ったフォーカスは新しい
雫井脩介原作映画を見るのは2作品目
前回は『検察側の罪人』では捻りがありすぎる結末にいまいちついていけなかった記憶‥
今作も、加害者家族でも被害者家族でもなく加害者か被害者か分からない家族の心の動きに焦点を当てるというめずらしい設定
誰の気持ちになればいいか迷う
事件の真相を追うサスペンスの要素も持っているけれど、それよりも家に残った3人の家族の心の動きがほんとリアル
最初は息子が無関係だと信じて疑わない3人だけど
事件関係者だったらしい事が分かり、犯行仲間に殺害されてしまった可能性も高まってくると次第に思いはすれ違ってくる
「息子が殺人を犯しているわけがない」と望む父と、「殺人犯でもいいから生きていて欲しい」と望む母
そして、加害者家族としての行く末を考えると「もう死んでいてくれた方がいい」と望んでしまう妹の気持ちも辛い・・・
容疑者に対する警察やマスコミの対応は厳しく、それに煽られて一般人の目も辛辣になる
ひとつの事件は、当事者だけでなくあらゆる人間に暗い影を落とすんだなと思い知らされる話
こういう悲壮感のある母親役にハマりすぎる石田ゆり子の日に日に憔悴していく演技が素晴らしかった
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