映画「モリのいる場所」感想:老夫婦の不思議な1日
映画「モリのいる場所」の作品情報
公開:2018年 / 99分 / ジャンル:邦画
原作 / あらすじ
画家の熊谷守一の晩年のある1日をフィクションで描いた沖田修一のオリジナル脚本。
昭和49年の東京。30年間自宅のちっちゃな庭を探検し、草花や生き物たちを飽きもせずに観察し、時に絵に描く画家モリ 94歳(山崎努)と、その妻秀子 76歳(樹木希林)。
52年の結婚生活を共にした味わい深い生活道具に囲まれて暮らすふたりの日課は、ルール無視の碁。
暮らし上手な夫婦の毎日は、呼んでもいないのになぜか人がひっきりなしにやってきて大忙し。
そんなふたりの生活にマンション建設の危機が忍び寄る。陽が差さなくなれば生き物たちは行き場を失う。
慈しんできた大切な庭を守るため、モリと秀子が選択したこととは-。
(C)2017「モリのいる場所」製作委員会
予告動画
個人的感想・評価
勲章の内示を受けながら二度も辞退したというエピソードを持ち「画壇の仙人」と呼ばれた実在した芸術家 : 熊谷 守一(作中 / モリ) を描いたフィクション
史上最強の老夫婦
晩年の熊谷 守一の写真と比べたら、もう本人そのもののような佇まいの山﨑努に
いつもながらドキュメンタリーを見ているかのような自然な演技で側に佇む妻 樹木希林
この二人が夫婦として主演するというだけで神的作品だなと思う
一軒家(とその庭)のみで撮影される地味な作品でありながら、加瀬亮・吹越満・きたろう・三上博史などなどのベテラン勢が脇で登場するのも贅沢
小さな家の森に宇宙を見る・・・?
この夫婦は、子供を次いで亡くしていたりと苦しみを抱えた人生であったようだけれど、モリが家に籠もった晩年は決して悲痛なものではなかったらしい
生きるものがただそこに居て、同じく生きる全てのものを尊ぶというごく単純なことでヒトは十分幸せを感じられるんだなと思わせてくれる丁寧な描写だった
勝手にあらすじの「ある1日」を「最後の1日」と勘違いして見ていたのでモリが死んじゃうなんて悲しいーと思いながら見ていたけれど、大丈夫、死なないわ
沖田ワールド凝縮
沖田修一監督は『南極料理人』や『横道世之介』で知られるけれど私はどちらもちゃんと見たことがない
けど、昔見た『キツツキと雨』(2011)という作品が好きだったのが沖田修一監督作品だったらしい
木こりの役所広司と若い映画監督の小栗旬が主演で、田舎の山村でゾンビ映画を撮影するという話
この作品と同様に、何でもない日常の現実と突拍子もないような非現実をうまく織り合わせたような不思議な話で
最後には「なんかイイもの見たな」と思えるあったかい作品
何もない日常で最後のサプライズ的三上博史のジーンだけは賛否両論ありそうやけど、
あの三上博史の頭にこれつけちゃうの⁉ と言う意味で、私はたまげたわ(^_^;)
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