映画「罪の声」:あの事件に巻き込まれた人々の苦悩
映画「罪の声」の作品情報
公開:2020年 / 142分 / ジャンル:邦画
原作 / あらすじ
塩田武士のグリコ・森永事件をモチーフとした同名サスペンス小説『罪の声』(2016年)
35年前、日本中を巻き込み震撼させた驚愕の大事件。
食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件は、誘拐や身代金要求、そして毒物混入など数々の犯罪を繰り返す凶悪さと同時に、警察やマスコミまでも挑発し、世間の関心を引き続けた挙句に忽然と姿を消した謎の犯人グループによる、日本の犯罪史上類を見ない劇場型犯罪だった。
大日新聞記者の阿久津英士(小栗旬)は、既に時効となっているこの未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、取材を重ねる毎日を過ごしていた。
一方、京都でテーラーを営む曽根俊也(星野源)は、家族3人で幸せに暮らしていたが、ある日、父の遺品の中に古いカセットテープを見つける。
「俺の声だ-」それは、あの未解決の大事件で犯人グループが身代金の受け渡しに使用した脅迫テープと全く同じ声だった!
やがて運命に導かれるように2人は出会い、ある大きな決断へと向かう。(C)2020 映画「罪の声」製作委員会
予告動画
個人的感想・評価
昭和の日本中を震撼させた凶悪未解決事件 『グリコ・森永事件』を綿密に考察し、映像化された作品
謎が多すぎる昭和の大事件をモチーフにした作品は多々あるようだけれど、ドラマ版として実写化された『レディージョーカー』を以前見て、綿密な考えられたストーリに感心した
この『罪の声』も、私生活では関係の無かった人物同士が共犯関係になったという点では、『レディージョーカー』と同じような考察だったけれど
事件が起こされた経緯やバックボーンは昭和の学生運動を発端とした違った考察になっていて、こちらも「あぁなるほどなぁ」と頷ける信憑性がある
また面白いのは、事件にまきこまれてしまった子ども達に焦点を当てているところだと思う
星野源が演じる曽根俊也は、自分の意志と反して大事件に加担したことになり罪の意識に苛まれる
一方、犯罪グループの一員だった男の家族は、(同じく犯罪に関わった)暴力団組員に軟禁されていたことがもうひとつのストーリーとして描かれているのだけれど
現代を舞台に30年前の事件をたどる二人と比べて、この子どもたちが歩まされた壮絶な人生はあまりにも悲惨で強烈に印象に残った
もちろんこれは、フィクションではあるけれど 『グリコ・森永事件』の犯行声明で子供の声が使われていたというのは事実で、
事件が未解決であり続ける限り、同じように巻き込まれてしまった子供や家族・さまざま人の苦しみが今も続いているかもしれないということを忘れては行けないなと思える作品だった
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