映画「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」感想。
映画「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」の作品情報
放映:2007年 / 142分 / ジャンル: 邦画
原作 / あらすじ
原作はリリー・フランキーの自伝的長編小説『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』(2005)。映画化にあたり脚本は、リリー・フランキー本人から依頼され松尾スズキが務めた。
九州の小倉。変わり者のオトンはボクが小さい頃から別居していて、15歳で家を出るまでボクはオカンと共に暮らしていた。やがて故郷を離れボクは東京の美大に通い、オカンにあらゆる迷惑をかけ続けながら、ぐうたらな生活を続けていた。
だが、ようやく「ボクの最低の底もつき」、ついに仕事を始める。やがて、ボクは食えるようになり、オカンを東京に呼び寄せる。オカンと共にはじめて手にした我が家。気兼ねなく暮らし、オカンはボクの友達にも飯を振る舞い、楽しい生活が始まった。ところが、オカンの身体はガンに冒されていたのだった……。(C)2007「東京タワー~o.b.t.o」製作委員会
予告動画
個人的感想・評価
最初の視聴から17年…。樹木希林がまだバァちゃん役ではなく、オカン役なのも頷ける。
とは言え、オダギリジョーや小林薫・松たか子においても確かに少しは若いけれど 、さほど現在との違いを感じさせないのはさすがやなと感心する。(💭カメオ出演の 小泉今日子だけは、年月の流れを感じさせたのはここだけの話。)
リリー・フランキーにしては洗練されすぎているけれど、オダギリジョーが演じた飄々とした雰囲気はとても合っていた。
樹木希林が演じた他の作品の記憶と混じってしまっていて、主人公: ボクはもっとバカすぎる息子やと思っていたけれどそうでもない。というか、かなり優しい。
若気の至りはあったにせよ、社会的にそこそこ成功したからと言って、30歳の息子が故郷の母と二人で暮らすなんてめったに出来ることでは無いでしょう。
主人公: ボクつまりリリー・フランキーが、もはや肩書き不明なほどマルチ過ぎるのは「来た仕事はなんでも断らなかった結果」だったのだけれども、そのルーツがオカンにあったこともこの作品でちゃんと描かれていた。
脚本家が松尾スズキだったという事は今さら知ったのだけれど、原作小説を忠実に脚本化するとなんと4時間の本になったらしい。それを削って削って、おまけに3歳から40近くまでの半生ということでかなり勇み足な展開。
そんなわけで、一つ一つのエピソードは深堀りせずにどんどん進んでいくけれど、オカンの闘病シーンだけは腰を据えて描かれている。樹木希林のリアルすぎる演技も相まって、観ているこちらも本当に胸が痛い。
公開から17年経った今となっては、実際に樹木希林が癌を罹患していたことや、夫: 内田裕也と最後まで別居婚だったこと、夫より少し先に逝ってしまったこと、
そして何よりも、樹木希林が内田裕也をずっと愛していたところまで、本作品のオカンと重なることに驚いた次第。
それから、懐かしの再視聴をしてみて、初めて観た時の記憶が曖昧だったのは、当時の私がまだこの物語に現実味を感じれなかったからやなと気付いた。
親から子への愛・子から親への感謝・そして親を看取って送ること…と、派手さはない親子のリアルが描かれているので、ミドル世代が観て初めて共感もするし、刺さる作品なんやと思う。
リリー・フランキーはきっと今でもオカンに語りかけてるんやろうなぁと想像すると、器用すぎるオッサンやと思っていただけのリリー・フランキーの好感度が爆上がりなのが、なんか悔しい。
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