映画「東京原発」感想:コメディの仮面をかぶったタブー作
映画「東京原発」の作品情報
公開:2004年 / 110分 / ジャンル:邦画
原作 / あらすじ
山川元脚本/監督による日本の原発に対する社会風刺・コメディ映画
「東京に原発を誘致する!」突如飛び出した都知事の爆弾発言に都庁はパニックに陥った。
推進派、反対派それぞれのもっともらしい意見が入り乱れて会議室は戦場と化し、議論が白熱する中、強引に原発誘致を推し進めようとするカリスマ都知事の真の狙いが明らかになる…。
一方、フランスから海路極秘裏に運ばれてきた大量のプルトニウム燃料を積んだトラックが爆弾マニアの若者にジャックされ、時限爆弾を仕掛けられて都庁に向かっていた。
もし、爆弾が爆発すれば・・・果たして都知事はこの絶対絶命の危機を乗り切ることが出来るのだろうか!?(C)「東京原発」フィルムパートナーズ
予告動画
個人的感想・評価
- 東京都知事の天馬(役所広司)は突如「東京都に原子力発電所を誘致する」と発表する
- 驚愕の計画に、都庁幹部はパニックになり原発誘引反対派と推進派が集結し熱い議論を戦わせていた
- その会議の最中、敦賀発電所での実験のためのプルトニウム燃料を極秘裏に輸送していたトラックがある少年にハイジャックされ・・という話
福島原発で事故処理にあたった作業員を描いた映画『Fukushima 50』
のサジェストに表示されていて、なんとなく見た本作品
曰く付きの問題作
パニックコメディ映画というジャンルであるにしても、
東京都に原発誘引というショッキングなテーマを掲げ、原発の是非を議論する内容ということもあってか、役所広司主演作にして(脇も豪華)
- 製作から公開までなんと2年も掛かかり
- 紆余曲折で公開にこぎつけても東京ではわずか2館でしか上映されなかった
という、お蔵入りギリギリの問題作(どーりで知らんわけだ)
WEB情報では、脚本も手掛けた山川元監督は、本作品を最後に目立った監督活動が見られない(つまり、干された?)とか・・・^^;
驚くべきは会議の議論内容
注目すべきは本作品が制作されたのは、なんと2002年(公開は2004年)にも関わらず、2011年に発生してしまった福島原発事故を予見していたような議論が作品内で交わされていることだと思う
都庁会議室での議論という地味な絵面が続く中で
幹部達の主張にそれぞれ説得力があって、見ているこちら側も、原発賛成派と反対派にくるくる惑わせてしまうような仕上がりになっている
当時は滑稽に思えたブラックユーモア的な主張内容も、何割かは現実に起こってしまった今となっては公開すらされなかったであろう、コメディ映画の仮面をかぶったタブー作かもしれない
風刺たっぷりの社会派作品
コメディパニック要素としては、東京都内をトラックが暴走するというくらいでエンターテイメント映画としては低予算感が拭えないけれど
都知事が原発誘致という驚愕計画を突きつけた本当の理由が最後の最後の明かされたりと・・
「分からないから国任せの傍観者であっていいのか?」と問題提起する社会派メッセージ作品にもなっている隠れた異色作
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