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ドラマ「八月の声を運ぶ男」感想。苦悩と使命感の共鳴
脚本 : 池端俊策 / 監督 : 柴田岳志・ 放映:2025年 / 89分 / ジャンル:邦画
ざっくりこんな話
あらすじ
- 辻原保(本木雅弘)は放送局を退職し、被爆者の「声」を録音し未来へ遺そうと自ら録音機を持ち訪ね歩くジャーナリストだ。
- ある時、被爆者団体の事務員・恵木幸江(尾野 真千子)に紹介され、少年期の被爆から長い闘病生活を乗り越え社会復帰を果たした九野和平(阿部サダヲ)に会いに行く。
- 九野が切々と語る被爆体験に心を有さぶられた辻原だったが、その内容は謎に満ちたものだった⋯
原子爆弾被爆証言取材の第一人者・伊藤明彦の著作を原案にNHKで制作された戦後80年ドラマ
個人的感想・評価
NHKでは毎年この時期になると戦争にまつわる作品が放送されるけれど、今作は「被爆者証言を取材した実在のジャーナリスト」という一風変わった視点。
語り継げる体験者がいなくなっていく戦後80年の今にふさわしいテーマの作品だったと思う。
本木雅弘✕阿部サダヲ共演の期待値を裏切らず、演技対決とでも言うべき二人のシーンは見ごたえがあるし、尾野真千子・伊東蒼・石橋静河など演技の巧い俳優で脇も固められていて安心感がある。
特に原爆の後遺症で、体だけでなく精神も侵されたかに見える九野(阿部サダヲ)の鬼気迫る独白に対して、辻原(本木雅弘)の「聞くもの」に徹した抑えた受け答えの対比は見入ってしまった。
九野の真意は作中では明らかにされなかったけれど、辻原の想像通りだったのだろうと思いたい。
立場は違えど生かされた者の苦悩と使命感が、「声を遺すこと」として共鳴していたように見えるラストシーンだった。

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