映画「容疑者Xの献身」感想:人の心は非論理ゆえに
映画「容疑者Xの献身」の作品情報
放映:2008年 / 128分 / ジャンル: 邦画
原作 / あらすじ
原作は、 東野圭吾の同名推理小説『容疑者Xの献身(2008年)』ガリレオシリーズのうち 第3弾。2008年の日本公開後、韓国・中国・インドにてそれぞれリメイク版が映画化されている。
惨殺死体が発見され、新人女性刑事・内海(柴咲コウ)は先輩と事件の捜査に乗り出す。
捜査を進めていくうちに、被害者の元妻の隣人である石神(堤真一)が、ガリレオこと物理学者・湯川(福山雅治)の大学時代の友人であることが判明。
内海から事件の相談を受けた湯川は、石神が事件の裏にいるのではないかと推理するが……。(C)2008 フジテレビジョン/アミューズ/S・D・P/FNS27社
予告動画
個人的感想・評価
最新作が公開されたのを期に、大昔の映画1作目から見てみようかと思い立った件。(ちなみにドラマも原作も未視聴) ・・調べてみると、本作が福山雅治初主演映画とのことに軽く驚いた。
15年前の作品になるけれど、福山雅治が一人だけ異常にあどけない以外に、他の出演者はまったく年月の差を感じないのは何なんだろう。
ストーリーは、天才物理学者 :湯川が華麗に真相を明かして解決パチパチとは全く違って、真相が分かってもやり切れない物語で 東野圭吾らしいミステリーだった。
冒頭に事件が発生し、すでに犯人は誰か分かっている状態で話が進むので、ドラマ版ではお決まりらしい 湯川が数式を書き連ねて講釈を垂れるシーンは無く、
真相を解き明かす事よりも、犯人の心の機微が主軸に描かれている物語だった。そのせいか、主演は天才数学者 :石神を演じた 堤真一と言っても過言では無いのかなと思う。
天才過ぎたがゆえに、誰とも心を混じり合わせることの出来ないまま歳をとった孤独な男 石神が、たぶん生まれて初めて穏やかな気持ちと生きる意味を感じさせてくれたのが、たまたま隣に越してきた花岡母娘だった。
その花岡母娘の平穏を守るために自身の全てを投げ売った石神の行動は、男女間の愛と言うには安易すぎる表現に思えて来る。もう、違わぬ神への無償の敬愛とでも言うべきかもしれない。
靖子(松雪泰子)へのストーカーのような素行も、全て石神の計算上だったかと思うと、なんとも切ない。
傍から見ると論理的なはずの石神の行動原理はとても非論理的で、天才的な論理思考を用いても、人の心というのは非論理的に動いてしまう・・
石神の行動とその顛末は石神にとってやり切れないもので、ラストシーンの堤真一の叫びにも近い嗚咽は頭にこびりついて離れない。
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