映画「星の子」感想:フラットな視点で描いた宗教2世の日常
映画「星の子」の作品情報
公開:2020年 / 110分 / ジャンル:邦画
原作 / あらすじ
原作は今村夏子による同名小説『星の子』(2017年) 第157回芥川賞および本屋大賞2018候補作
大好きなお父さんとお母さんから愛情たっぷりに育てられたちひろだが、その両親は、病弱だった幼少期のちひろを治した“あやしい宗教”を深く信じていた。
中学3年になったちひろは、一目惚れした新任のイケメン先生に、夜の公園で奇妙な儀式をする両親を見られてしまう。
そして、彼女の心を大きく揺さぶる事件が起きる――。
(C)2020「星の子」製作委員会
予告動画
個人的感想・評価
あくまでもちひろの視点だから
両親が変わっていく様を目の当たりして育った姉とは違い、物心付いた時すでに両親は信仰に傾倒しているのが日常だったちひろ
- 「謎の水」によってちひろの病気が治った(と信じている)事で両親が決して信仰から離れられないこと
- そんな両親を周りはおかしいと思っていること
は分かっているけれど、
ちひろ自身はその「新興宗教」を強く信じているわけでもないし、でも「あの謎の儀式はおかしい」と思っているし、かといって「教えが全てまやかし」だとも思いきれずに、どこか揺らいでいるように見える
それはきっとちひろが信じているのは大好きな両親だからなのだと思う
芦田愛菜は賢い人だなぁ
思うと書いたのは、実際にちひろが感情を言葉で表すシーンがかぎりなく少なく抑えられているからなのだけど‥
同じ年頃の子よりも、純粋ゆえに?幼さが残りながらも思春期の成長と共にうっすらと色々なことを分かっていくちひろ
という、なんとも難しい役柄を(当時)16歳の芦田愛菜がごく自然に演じていたのはさすがの理解力だった
女性ではなく子性を表現するために、ロングヘアだった髪を切ることを監督に提案したらしいけれど
『ドラマ mother』で見せた(当時)5歳の末恐ろしい才能は間違いないものになっていたので、子役で終わる人じゃないんやなぁと認識した作品でもあった
宗教2世をフラットな視点で描いたら
自分の意志とは関係なく、いわゆる宗教2世となってしまった娘の話で
あの事件が起こってしまった今となっては扱いにくいテーマになってしまったのがもどかしい…
私自身も、とある宗教に熱心な親の子だった(生まれとほぼ同時に入信ということになっていた)ことで、まさに宗教2世だけれど信仰心は皆無だし、自分の人生に悪影響を及ぼされたと感じたことも無い
だから、宗教2世にだっていろいろなケースがあって一括りには出来ないと思っている
傍から見れば怪しいだけの「新興宗教」を得体の知れない怖いものとして闇雲にカルト化せず、また否定も肯定もせずに、ただただ娘のちひろ(芦田愛菜)の日常に寄り添う作品となっているのはとても好感が持てた
コメントの公開は管理者の承認制です (は空白不可)