ドラマW「しんがり 山一證券 最後の聖戦」感想。号泣会見の裏で
ドラマW「しんがり 山一證券 最後の聖戦」の作品情報
公開:2015年 / 全6話 / ジャンル:国内ドラマ・WOWOW
原作 / あらすじ
原作は清武英利のノンフィクション小説 『しんがり 山一證券 最後の12人』(2013年)
1997年4月。山一證券の常務取締役・梶井(江口洋介)は、業務監理本部本部長に就任する。
そこは社内監査を行なう部署だが、左遷社員が追いやられる“場末”と呼ばれていた。
ある日、大蔵省証券取引等監視委員会の調査が入った。
当時金融業界は、総会屋への利益供与問題で大きく揺れていた。梶井は、営業考査部部長・花瀬(佐藤B作)やその部下・中西(矢島健一)、秘書の蒲生(真飛聖)に社内調査を指示。
そんな中、監査部の瀧本(萩原聖人)と吉岡(林遣都)は、渦中の総会屋との関係を示す資料を見つけてしまう。
一方、会長の有原(岸部一徳)らは調査に対し余裕の表情を見せるが、副社長の片瀬(光石研)だけは不安な表情を浮かべていた。
梶井や同期の林(勝村政信)もまた、上層部が何かを隠しているのではないかという疑念を抱く。(C)2015 WOWOW INC.
個人的感想・評価
証券会社と総会屋の利益供与問題で上層部に多数の逮捕者が出たことを発端に 1997年 日本の4大証券会社に名を連ねた 『山一證券』の自主廃業が発表される
全ての社員が自らの再就職に翻弄する中、左遷社員の場末部署と呼ばれた業務監理部の社員たちは最後まで会社に残り続け…
上層部が隠し続けたバブル崩壊後からの損失補填(不正会計)の真相究明と、本支店閉鎖に伴う膨大な顧客資産返還の清算業務をこなし続けたという実話をもとにした話
THE正義漢の江口洋介をリーダーに、元エリートの萩原聖人、お客様第一主義の佐藤B作、のし上がりキャリアの勝村政信、悪の根源岸部一徳と安心の配役
誰もやらない、やりたがらない
しんがりとは「負け戦で後退する部隊の中で最後尾の箇所を担当する部隊」のことで、山一證券が倒産する真っ只中に社員としての業務を最後の日までこなし続けた業務管理部はまさにしんがりだった
時代はバブル崩壊後の会社倒産 我が身の再就職に翻弄するのは当たり前の行為で、しんがり社員達の方が到底理解できない
けれど、大企業であればあるほど顧客の数も清算業務も膨大で「誰もやる人はいません」では済まない訳で…もう執念とも言える正義感と使命感には頭が下がった
記憶から薄れつつあった大事件
この倒産の裏で、顧客相談室長が殺害された事件(未解決)や、顧客の逆恨みによって顧問弁護士の妻が殺害されたという2件もの殺人事件が起こったのが世間への影響の大きさを表していると思う
当時私はまだ社会人にもなりきれていなかった頃で「社員は悪くありませんから」と号泣した社長会見はうっすらと記憶にあったけれど、詳細はほとんど知らなかった
ノンフィクションなので派手さは無いけれど、日本を誇る大企業がなぜこのような終焉を迎えることになったのかも知れるので勉強になった
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