ドラマ「それでも、生きてゆく」感想:重いテーマだけど名作
なんとなく恋愛ものかなと、放映当時はスルーした記憶がありましたが、Tverで再放送していたので視聴。
これがとてつもない化け物ドラマだった。今の民放ドラマではこういう作品を見ることは出来ないだろうなぁ。
ドラマ「それでも、生きてゆく」の作品情報
公開:2011年 / 全11話 / ジャンル:国内ドラマ
あらすじ
ある悲しい事件があった。15年の歳月を経て、本来会うことのない被害者の兄と加害者の妹が出会う。
悲劇を背負った男と女の“魂の触れ合い”を軸に、時が止まってしまった家族が、明日への希望を見いだそうと懸命に生きる姿を描いた生きていくうえでの“勇気”を示す物語。
作品背景
「東京ラブストーリー」「カルテット」の脚本家・坂元裕二が”悲劇を乗り越え希望を見出す家族の物語”を丁寧に描いた完全オリジナル作品。
奇跡の天才と呼ばれる全盲のピアニスト辻井伸行が初めてドラマ音楽を手掛けた。
ドラマ「それでも、生きてゆく」の感想
少年犯罪とその被害者家族・加害者家族と言う、重く難しい問題を丁寧に丁寧に描いた作品。
主要キャストの演技力に、要所要所で流れる辻井伸行の儚げなピアノ旋律と、切なく優しい小田和正のズルい歌声が合わさって毎話涙腺が緩みっぱなしです。
主人公二人はもちろんのこと、強い印象を残したのは殺された少女の母親役の大竹しのぶ。こういう相反する人間性を演じさせたらこの人に並ぶ女優はそういませんね。
驚いたのは、加害者役の風間俊介。最近は好感度の高い役がすっかり板についていますが、この作品では日に焼けた肌と心を持たない空洞のような目の影のある役をみごとに演じきっていました。
簡単に答えを出すことさえ憚れるような重く難しいテーマだけど、坂元裕二らしいくすっと笑える会話のかけ合いがはさまれることで、それが逆に人間らしさやリアルさを感じさせてくれます。
悲しみの果てに落ちた者同士が許したり許されたりして生きていくなんて、現実はそんなに簡単で単純じゃない。オムライスのシーンがこの作品のすべてを物語っているように感じました。
悲しい過去と現実を背負いながらも、どこか天然な主人公二人が紡ぐドラマなので、暗くて重苦しいだけの作品ではありません。ほんの少しの希望が見えるようなとても良いラストでした。
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