
ドラマW「贖罪」感想:湊かなえブレ無し。完全イヤミス長編
WOWOWドラマ『贖罪』(全5話) 2012年(監督: 黒沢清 原作:湊かなえ 出演: 小泉今日子・蒼井優・小池栄子・安藤サクラ他)のあらすじ・出演者と個人的な感想。
作品概要
原作は当時『告白 (双葉文庫)』で大ヒットを飛ばした湊かなえの3作目小説。『告白』と同じく、登場人物の独白形式で書かれた原作がWOWOWドラマで実写化された作品。
ドラマを再編集し映画化したスクリーン版がべネチア国際映画祭で上映された異例の作品でもあります。
あらすじ
10歳の時に起きた未解決の少女暴行殺害事件犯人を目撃した4人の少女達が、事件から15年後に起こした悲劇の連鎖(1~4話)と、真犯人が判明する最終話(第5話)の全5話。
登場人物 : 主要キャスト
全5話のざっくりした覚書き
第一話 フランス人形 (75分)
主人公 : 紗英 (蒼井優)
- 事件当時、エミリの死体の番をさせられた。
- 犯人に見張られているのでは無いかというトラウマから無月経で大人になり、特殊な性癖のエリート男性と結婚し、異常に束縛され人形として扱われる。
- 初潮が起こったある日、自分に作為的に近づいた夫の正体を知り、衝動的に夫を殺害する。
→エミリを殺した男は30代中頃だと思い出し出頭前に麻子に手紙で告げる。
第2話 PTA臨時総会 (50分)
主人公 : 真紀 (小池栄子)
- 事件当時、姉御肌で少女たちの指示役だったが、自分だけ逃げ出してしまった。
- 後にエミリに恥じない人間を目指し真面目すぎる教師となる。校内に入ってきた不審者を犯人と重ね合わせ撃退したが、過剰防衛だったとされ批判を浴びる。
- 真紀の人気を妬む同僚教師に殴られ重症を負う。
→エミリを殺した男はフリースクールを経営している南条弘章によく似ていたと麻子に告げる。南条とエミリは似ていたとも言いかけた?
第3話 くまの兄妹 (50分)
主人公 : 晶子(安藤サクラ)
- 事件当時、エミリの母に事件を知らせに行かされる。
- エミリの死を聞かされ発狂した麻子(エミリ母)に突き飛ばされ怪我を負ったたことがトラウマとなり、大人とうまく付き合えず引きこもりになる。「分相応なことをすると不幸になる。」と言った祖父の言葉が忘れられない。
- 慕っていた兄が幼児虐待をしている事に気づき、犯人と重ね合わせ殺害し、さらに精神を病む。
→関西でフリースクールを経営しているはずの南条弘章が、事件当時にその街に住んでいたことを麻子に告げる。
第4話 とつきとおか (50分)
主人公 : 由佳 (池脇千鶴)
- 事件当時、交番に知らせに行かされる。
- その際に対応した警察官に恋心を抱いたことから、後に男らしい男性や警察官フェチになる。病弱な姉に親の愛情を奪われたことがトラウマで、人の男を奪うことに執着する一面もある。また、いわゆる麻子の呪いに囚われていないただ1人と見られる。
- 姉の夫と浮気し妊娠したことが原因で、姉は自殺未遂、姉の夫を突き飛ばし事故死させる。
→南条弘章に関する情報と、エミリの顔が麻子の夫に似ていなかったと麻子に告げる。
第5話 償い 75分
主人公 : 麻子 (小泉今日子)
- 事件当時、エミリを殺害され犯人が捕まらないことで激しく精神を病む。
- 犯人が捕まらないのは「4人が顔を思い出せないせいだ」と思い込み、少女だった4人を家に呼びつけては脅迫まがいの言葉を浴びせ、強烈なトラウマと罪悪感を植え付ける。
- 後に4人からそれぞれ犯人の手がかりとなる重要な情報を聞きつけ、対峙する。
→エミリの出生には、麻子しか知らない重大な秘密があった。
個人的感想
これぞWOWOWドラマ。笑うとこなし!
久しぶりに2度めの鑑賞をしたのですが、始終漂う重苦しい雰囲気。最初から最後までぶれないパーフェクトイヤミス
出演者が今も大活躍する面々すぎて、まったく古さは感じませんが、もう10年近く前の作品だったのですね。(諸事情で、表舞台を去られている方が数名いることだけが時の流れを感じます・・・。)
とにかく豪華すぎるキャストで、全5話それぞれ個性の強い話です。
特に、初見の際にはいろいろな意味で強烈なインパクトがあった晶子(クマ)を演じる(まだ今ほど認知度が高くなかった)安藤サクラさんと、陰鬱かつどこか妖艶な麻子を演じる小泉今日子さんは一見の価値アリです。
多くの実写化作品と同様に、この作品も原作とは違う脚色がされているようですが、この作品に関して言えば、原作はあえて読まず、実写版だけでいいかなと思えるお腹いっぱい度でした。
1話毎のドラマ仕立てですが、トータル300分あるので自由時間のたっぷりある日にどうぞ。
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