
映画「友罪」感想:少年犯罪の贖罪とは何かを考えさせられる
映画『友罪』 2017年公開(原作:薬丸岳/監督: 瀬々敬久/主演: 生田斗真・瑛太)のあらすじ・出演者・予告動画と個人的な感想。
映画「友罪」の作品概要
1997年に世間を震撼させた酒鬼薔薇聖斗事件(※神戸連続児童殺傷事件)の少年Aを題材にしたとされる、少年犯罪のその後を描いた長編小説 : 薬丸岳の友罪 (集英社文庫)を、『64-ロクヨン』の瀬々敬久監督が実写化した作品。
ダブルキャストの生田斗真と瑛太(永山瑛太)は、この作品で3度目の共演。
監督・脚本 | 瀬々敬久 |
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原作 | 薬丸岳 |
公開 | 2017年 |
あらすじ

ある町工場で働き始めた元週刊誌ジャーナリストの益田は、自らの経歴を一切語らない鈴木と出会う。年齢以外の共通点は何もない2人だが、同じ寮で暮らし、友情を育んでいく。そんななか、17年前に日本中を震撼させた凶悪事件と似た児童殺害事件が起こり…。
予告動画
登場人物 : キャスト
感想 ネタバレ有り
私の世代なら、今も記憶にしっかり残っている24年前のあの事件(※)を嫌でも彷彿とさせるストーリー。
瑛太さん演じる「鈴木」が素晴らしい
過去の犯罪歴を隠すために人と関わりを一切持たない鈴木が、時折り見せる優しさと、それに反するような狂気的な行動が交互に顔を見せる。何かが欠落したまま大人になったような不安定な危うさを表現した演技は素晴らしかった。
問題提起の答えは無い
少年犯罪の被害者遺族だけでなく、このような場合にタブーとされる加害者側の苦悩も描かれる作品。
- 人を殺めた加害者は、刑期終了後も許されてはいけないのか。
- 被害者遺族は、刑を償った後の加害者を許さなければいけないのか。
- 加害者が少年だった時、遺族はいったい誰を憎めばいいのか。
- 凶悪犯罪者でも、少年なら更生に導くことが大人の正義なのか。
- 友達が凶悪犯罪者だったと知った時、友達のままでいれるのか。
いずれも答えは出さず、作品を観た人に委ねられている。
あくまでも私の個人的な意見
自分の犯罪歴を隠し、感情を押し殺し続けていた鈴木が「それでも生きたいんだよ!」と公園で益田に吐露するシーンは印象に残る。
いくら年月が経とうとも、被害者家族が加害者(とその家族)を許せないのは当然のこと。人を殺めておいて、自分は生きていたいなんて勝手極まりない!と思う私でも、
この作品を観ていると、思わず加害者側に肩入れするような気持ちにもなるほど加害者と被害者それぞれのリアルな現実が描かれている作品だった。
映画作品としては・・・
サスペンス的に最後に繋がるのかと勝手に思いこんでいたら、繋がらなかったので少し消化不良。
主軸の二人以外のストーリーにも、あちこちとシーンが切り替わりながら同時進行したせいで(特に夏帆さん演じる美代子のAVシーンは長すぎたと思う。) 肝心の二人の心情の演出がぼんやりしてしまったように感じた。
原作はそのあたりがしっかりと描かれていそう。
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