映画「0.5ミリ」感想:家族総出。通向けの超長尺映画
映画「0.5ミリ」の作品情報
公開:2014年 / 196分 / ジャンル:邦画
原作 / あらすじ
原作は監督・脚本を務めた安藤モモ子が、自身の介護経験から着想を得て書き下ろした同名小説『0.5ミリ 安藤桃子』(2011年)
冥土の土産におじいちゃんと寝てあげてくれない?」 ある日、ヘルパーのサワは派遣先の家族から驚きの依頼を受ける。
その当日に事件に巻き込まれ、気がつけば「家ナシ・金ナシ・仕事ナシ」。人生崖っぷちに立たされたサワは、ワケありじいちゃんを見つけては、おしかけヘルパーをして生き抜くことに……。
老いは誰にでも等しく訪れる。高齢化社会へと突入し、身近な人や自分自身の老いに戸惑いながら生きている私たちに「死ぬまで人間は懸命に生き抜くんだ!」と叫ぶサワの姿が、”生きること””人生をまっとうすること”の本当の意味を教えてくれる。(C)2013 ZERO PICTURES / REALPRODUCTS
予告動画
個人的感想・評価
- 優秀な介護ヘルパーとして働く山岸サワ(安藤サクラ)は、寝たきり老人の娘から「冥途の土産におじいちゃんと寝てほしい。」と依頼される。
- 添い寝するだけの条件で引き受けたその晩、家は火災になり娘は自殺という大事件に巻き込まれる。
- 職場も住居も失ったサワは、見知らぬ土地土地でワケありの老人らにつけこみ、彼らの生活に入り込みおしかけヘルパーを始める・・
今や実力派女優としてすっかり認知度を得た安藤サクラを主演に、その実姉安藤モモ子が脚本監督を努めた作品ということで前から気にはなっていた作品。
主演安藤サクラ(実妹)、プロデューサーに奥田瑛二(実父)、フードスタイリストは安藤和津(実母)。
演者には柄本明(義父)・角替和枝(義母)と家族総出で娘:安藤モモ子の撮りたい作品を作り上げた感じの本作。
上映時間を見て笑う。だんだん短くなる風潮の映画作品に反するような3時間超え、196分。ウソみたいに長い!
というわけで、たんまり時間のある日に視聴。
老い先短い男性老人に入り込む若めの女の話とだけ聞くと、映像化されまくった『後妻業』をイメージするけれど、安藤サクラ演じるサワはちょっと違う。
目をつけた老人の家に住み込むことだけを条件に、家事を完璧にこなす。サワの作る食事は、倹約かつ質素でありながら手間をかけた家庭的な料理で、最初こそ訝しんでいた老人たちをまさに胃袋から虜にしていく。
また、そこに介護の必要な老人がいれば、ヘルパーの能力も存分に発揮し、甲斐甲斐しく介護までこなす。
本当の家族以上の親密さで無償で(!)世話をするけれど、そこはやはり他人。いよいよ老人の最期が近くなると、現実問題出ていかなければならない訳で、寂しい老人を渡り歩くサワ・・・。
けれど、その間のサワの感情や生い立ちなどは、全く描かれない。
3時間もあるので、いろいろとエピソードが描かれているけれど、一番の核と言える部分まで説明ゼロなので、「きっとこうやったんやろうなぁ」と見てる側が想像するしか無い。
序盤、認知症を発症したと思われる津川雅彦のノーカット戦争体験語りシーンがあるのだけれど、またこれがお経のように長いのよね・・・
(監督の安藤モモ子が、かつて僧侶と結婚していたというエピソードを持つことも影響していそうだわ)
今は亡くなってしまった演者がたくさん出ているというのも感慨深い。生と性と喪失を練り込んだかなり通向けで評価の割れる作品やと思う。
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