ドラマW「推定有罪」感想:冤罪の罪深さを感じる重厚な作品
ドラマW「推定有罪」の作品情報
公開:2012年 / 全5話 / ジャンル:国内ドラマ・WOWOW
原作 / あらすじ
原作はさまざまな立場から冤罪事件を立体的に描く前川洋一の同名社会派小説(2012年)
近年、DNA鑑定技術などの進歩で、過去に起きた事件に新たな事実が分かるケースが発生している。その中でも、多くの人生を狂わせるのが冤罪だ。
冤罪のもたらす悲劇は、真の犯人を取り逃がしてしまうこと、そして、犯人と間違われ罪を着せられた人間の苦痛。
さらには、事件の被害者や、その周囲の人々、罪を着せられた人間の周囲の人々など、たくさんの人に影響を及ぼしていく。
連続ドラマW「推定有罪」は、冤罪事件の当事者だけでなく、遺族、警察、裁判所、弁護士、報道関係者など、さまざまな立場の人々の姿を描く、社会派人間ドラマである。
連続ドラマW「空飛ぶタイヤ」(2009年)、「下町ロケット」(2011年)で高い評価を得た、脚本・前川洋一、監督・鈴木浩介のコンビで、冤罪の本質的な罪深さに迫る。
(C)2012 WOWOW INC.
個人的感想・評価
ドラマWらしい強気な作品
有名な足利事件(の一部)をモチーフにした冤罪作品は言わば国家を批判するようなストーリーなわけで、スポンサー離れがあまり怖くないドラマWならではの強気な作品
そういう意味では民放で冤罪事件をテーマにした『エルピス—希望、あるいは災い—』はすごかった
ベテランキャストの熱い演技
2012年放映、今も一線で活躍している俳優陣が最も旬な時期の作品で10年の古さは全く感じない
図らずも、冤罪事件に加担することになってしまった記者(仲村トオル)と刑事(陣内孝則)が、冤罪被害者の篠塚(國村隼)への贖罪を果たそうとする話
真犯人が分かっても篠塚が失った時間は戻らないし、加害者家族として蔑まれて壊れた家族や、殺された少女の家族の悲しみはより深まる訳でやりきれない
けど人の心が動くことで、温まる最後にもなっていることが救われる良い作品だった
氷山の一角か
DNA鑑定の技術が格段に上がった今、過去の事件が冤罪である可能性も相当に上がっている事実
警察の隠蔽体質・政界有力者との癒着が根深くて、取り調べの可視化制度も皆無だった時代では自白強要による冤罪〈推定有罪〉が多数あるのだとすれば怖い
一つの事件が及ぼす影響が計り知れない事を考えると
人が人を裁くことの難しさを感じさせられる話だった
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