映画「日日是好日」感想:変わらずに続けられる幸せ
映画「日日是好日」の作品情報
放映:2018年 / 100分 / ジャンル: 邦画
原作 / あらすじ
原作は-エッセイスト森下典子の自伝『日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-』(2002年)。
真面目で、理屈っぽくて、おっちょこちょい。そんな典子(黒木華)は、いとこの美智子(多部未華子)とともに「タダモノじ ゃない」と噂の武田先生(樹木希林)のもとで“お茶”を習う事になった。
細い路地の先にある瓦屋根の一軒家。武田先生は挨 拶も程々に稽古をはじめるが、意味も理由もわからない所作にただ戸惑うふたり。「お茶はまず『形』から。先に『形』を作っ ておいて、後から『心』が入るものなの。」と武田先生は言うが――。青春の機敏、就職の挫折、そして大切な人との別れ。人 生の居場所が見つからない典子だが、毎週お茶に通い続けることで、何かが変わっていった……。(C)2018「日日是好日」製作委員会
予告動画
個人的感想・評価
前半と25年後となる後半で老いをきちんと見せることのできる役者ってすごいなと思った。
のんびりおとなしい性格の大学生: 典子(黒木華)と、活発で明るい従兄弟: 美智子(多部未華子)が二人でお茶を習いに行くことから始まり、典子の半生を描く話。
典子はごく平凡な女性で、就職につまづいたり、周囲の結婚に焦りを感じたり、恋人との別れや、思いもよらぬ親の死に直面したり…と、多かれ少なかれ誰もが経験するような人生を辿りながらゆっくり歳を重ねていく。
そんな中で、時には足が遠のいてしまうこともあったけれど、変わらず受け入れてくれる武田先生(樹木希林)とのお茶の時間は、典子にとって無くてはならないものになっていくのである。
茶道とは無縁の人間からすれば、あらゆる所作の難しさ・細かい決まり事に驚いてしまうけれど、
「まず形から入ってあとから心が入っていくものよ。数をこなせば自然と体が覚えます。頭で考えずに自分の手を信じなさい。」
と、ふとすれば普通のおばさんのような武田先生(樹木希林)に穏やかに説かれると気が楽になる。
小さな茶室の静寂の中で過ごすからこそ、気づく音の違い(お湯と水の音が違う、梅雨の雨音は秋雨の音とは違うなど)から始まり、時候に沿った茶碗やもてなしの和菓子では、古くからの日本人の奥ゆかしさを知る。
そうやって、毎週土曜日にお茶室で過ごしながら長い年月を経ることで、気づけば掛け軸に描かれた『日日是好日(にちにちこれこうじつ)』の感じ方が全く違うものになっている。
変わらないことや続けられる毎日こそが、実は幸せなことなんだな感じられるようになる意地悪な部分がどこにもない優しい作品だった。
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