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映画「武曲 MUKOKU」:断ち切れない父子の因果

映画「武曲 MUKOKU」:断ち切れない父子の因果

映画「武曲 MUKOKU」の作品情報

放映:2017年 / 126分 / ジャンル: 邦画

原作 / あらすじ

原作は藤沢周による、剣の志を見失った青年と天性の才を持つ少年の剣道を通じた対決を描く日本の小説。

「殺す気で突いてみろ!」矢田部研吾は、まだ小学生だった自分に、日本刀を突きつけて剣を教えるような父・将造に育てられた。おかげで剣の道で一目置かれる存在となったが、父とのある一件から、進むべき道を見失い、剣も棄ててしまった。

そんな中、研吾のもう一人の師匠である光邑師範が、研吾を立ち直らせようと、一人の少年を送りこむ。彼の名は羽田融、ラップのリリック作りに夢中な今どきの高校生だが、台風の洪水で死にかけたというトラウマを抱えていた。彼こそ、本人も知らない恐るべき剣の才能の持ち主だった。研吾と融、共通点はなかった。互いに死を覗きながら闘うこと以外は──そして、その唯一の断ち斬り難い絆が、二人を台風の夜の決闘へと導いていく──。©2017「武曲MUKOKU」製作委員会

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予告動画

個人的感想・評価

評価 :

ざっくりこんな話
  • 剣道の師範であった父:将造(小林薫)に、幼少期から厳しく鍛えられ一目を置かれる剣士に育った研吾(綾野剛)だが、後に研吾の打った一撃で父を植物状態にしてしまう。
  • 将造と研吾の師匠でもある和尚の光邑(柄本明)は、ラップに夢中の高校生: 融(村上虹郎)に剣士の素質を見出し、なかば強引に剣道部へ入部させる。
  • 光邑は、父への罪の意識から剣道を捨て酒に溺れる日々を送っていた研吾を立ち直らせようと融との一戦を命じたが…

憑依型俳優綾野剛演じる研吾が、剣士としての志を取り戻すまでの話。

作中はっきりと明言はされないけれど、「アルコール依存症」で相当壊れた人物を演じているので荒んだ方綾野剛が好きな人向けの作品。

映画『日本で一番悪い奴ら』のシャブ中になったムチャクチャな刑事: 諸星役に近い。

クライマックスとなる融(村上虹郎)との土砂降りの中での対決シーンは、10分に及ぶ長尺で映画『その夜の侍』を連想させた。

個人的にはファンタジー感が突然増した「黒い雨」の演出は、不要だったと思う。

 

研吾は、忌み嫌いながらも常に父:将造(小林薫)の背を追っていて、気づけば酒に溺れる同じ道を辿ってしまうという、因果な親子関係も描かれている。

物語の終盤で光邑(柄本明)ら坊主らの世話でアルコール依存症から脱却するのだけれど、そこからの驚きの変貌も見どころかも知れない。

声色まで変えて憑き物が取れたような変わりようと、役のためにあんなに背筋を鍛えたのは綾野剛の役への執念を感じた。

 

準主役の村上虹郎はまだ20歳(出演時)

テレビドラマ初出演だったという18歳時の『天使のナイフ』(WOWOW)での演技は、お世辞にも上手いとは言えずかなり残念な感じだったけれど、本作では役が合っていたのか 準主役として残念さは感じなかった。

村上虹郎は、同世代の他の俳優とは違う目力があって、監督が使いたくなる空気感を出せる俳優なんだろうなぁと思う。 青さと鋭さが混在する柳楽優弥の若い頃のような感じ。

最後のシーンで作中初めて清い剣道を見ることになるのだけれど、村上虹郎の足さばきが上手いなぁと思ったら剣道経験者(初段)らしく納得。


ところで光邑よ、その手紙の存在もっと早くに明かしなさいよ。

以上!映画「武曲 MUKOKU」:断ち切れない父子の因果 でしたー (*Ü*)ノ

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