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映画「月」感想。この作品があの事件の全てではないと思う。
脚本 / 監督 : 石井裕也・ 放映:2023年 / 144分 / ジャンル:邦画
ざっくりこんな話
あらすじ
- 堂島洋子(宮沢りえ)は小説デビュー作で受賞したが、3歳の息子を障害で亡くしたことで書けなくなり、きっかけを求め重度障害者施設で働き始めた。
- しかし入所者の重い病状、職員の心ない扱いや虐待を目の当たりにし無力感を募らせる中、思いがけず第二子を妊娠。障害も危惧される出産リスクの高さに動揺する。
- 同じ頃、若く熱心な職員・さとくん(磯村勇斗)が「意思疎通ができず生産性のない障害者は排除すべき存在だ」と洋子に語りだし…
原作は実際の事件をモチーフにした辺見庸の同名小説『月』(2017)
個人的感想・評価
ちょうど今、9年目の追悼式がメディアで取り上げられている。
あの凄惨な事件からたった1年後に小説が刊行され、6年後に映画が公開された時から、難しすぎるテーマとそれに挑んだ実力派の俳優陣に驚いたものの、尻込みしてなかなか見れなかった作品。
そんな嫌な予感を裏切らず、「見るんじゃなかった」と思ってしまう気持ち悪さの拭えない作品だった。
この気持ち悪さは、この作品をどう語っても、当事者じゃない人間が正論を振りかざしているだけのように自覚してしまうからだと思う。
ただ、入所者を含めそれを取り巻く全ての登場人物が、いわゆる「見たくないもの」として強調されていて、犯人もそれらの影響で犯罪に至る思想が出来上がったかのような描き方には違和感を感じたし、「障害者を排除する思想」と「障害者を持つ胎児を堕胎すること」を対比している点も違うと思った。
原作小説は、犯人とある入所者のモノローグで構成される文学小説らしいけれど、本作の方は映像化の分ドキュメンタリーに近い作品として作られている。
それだけに、この作品をあの事件の全てだと思って見てしまうのは危険だなと感じた。この作品を世に出した意義っていったいなんなんだろう⋯。
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