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映画「宮松と山下」感想:誰でもない誰かを演じる方が

映画「宮松と山下」感想:誰でもない誰かを演じる方が

映画「宮松と山下」の作品情報

放映:2022年 / 85分 / ジャンル: 邦画

原作 / あらすじ

過去に2本の短編映画がカンヌ国際映画祭から正式招待を受けた「監督集団「5月(ごがつ)」の初の長編ドラマ映画

宮松は端役専門のエキストラ俳優。来る日も来る日も、名もなき登場人物を生真面目に演じ、斬られ、射られ、撃たれ、画面の端に消えていく。真面目に殺され続ける宮松の生活は、派手さはないけれども慎ましく静かな日々。

そんな宮松だが、実は彼には過去の記憶がなかった。なにが好きだったのか、どこで何をしていたのか、自分が何者だったのか。なにも思い出せない中、彼は毎日数ページだけ渡される「主人公ではない人生」を演じ続ける。ある日、宮松の元へある男が訪ねてくる……。© 2022 『宮松と山下』製作委員会

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予告動画

個人的感想・評価

評価 :

ざっくりこんな話
  • 京都で端役専門のエキストラとして来る日も来る日も違う役を演じている男:宮松(香川照之)。宮松は過去の記憶が一切無く、自分が何者なのかが一切思い出せずにいる。
  • ある日、宮松の元へかつてタクシー会社で同僚だったという男: 谷(尾美としのり)が訪ねてきて宮前の本名は「山下」であると告げる。
  • 谷に連れられ、妹夫婦(中越典子津田寛治)が暮らしている実家へ戻った山下だが、記憶が失われているせいか自分の実家であるというのに落ち着かない日々を送る…

なにはともあれ、この作品を世に出した「監督集団「5月(ごがつ)」が異色な組み合わせなのに驚いたのだけど…

「手法がテーマを担う」。監督集団〈5月〉が初の長編『宮松と山下』で新しい映画を切り開く | ブルータス| BRUTUS.jp

ボロボロの時代劇姿の香川照之が現代車に乗っているように見えるフライヤー画像と、不可解なタイトルからコメディ的な作品を想像したけれどぜんぜん違った。

香川照之は地上波ドラマでは、求められてかあえてなのかドギツイ役がばかり目立つけれど、地上波以外の作品では得体のしれない役が多くて、これがまたとてつもなく上手い。

 

今作もそっちの方の香川照之が存分に生かされていて、顔相撲なし・感情の起伏すらもほぼ無い本心が見えにくい人物を演じていてやっぱり上手いなぁと思った次第。

本心が見えにくいと書いたけれど、この作品自体の「本来の意図」みたいなものも分かりにくくて、ずばり言えば難解な作品という感想。

エキストラ俳優 仮名:宮松と、プライベートの宮松、記憶を失った山下と、呼び起こされた記憶の中の山下のシーンが入り乱れる虚実混在な構成になっているうえに、セリフも少なく説明も一切ない。

観たものが「たぶんこうやったんやろうなぁ」と想像するしか無いもやもや系だけど、「たぶんこうやったんやろうなぁ」と考えるシナリオが、大体の人が一致するんじゃないかと思えるギリギリの線を攻めている感じではあると思う。

死にかけて一度は記憶を失ったことで山下という生き方をしなくて良くなった山下が、誰にも期待されず誰でもない死に役ばかりのエキストラを演じる宮松を演じて生きることの方を選んだ。…ということかなと私は思ったのだけど違うかなぁ…。(ほら、ややこしい)

 

この作品は、戸籍売買で他人の人生を生き直そうとした男の話だった。人って箱が変われば全く違うものになりえるのよね。


それにしても、香川照之の俳優作品が出ないというのは惜しいなぁと思う。

以上!映画「宮松と山下」感想:誰でもない誰かを演じる方が でしたー (*Ü*)ノ

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