映画「永い言い訳」感想。西川美和は意地悪なヒトである。
映画「永い言い訳」の作品情報
放映:2016年 / 124分 / ジャンル: 邦画
原作 / あらすじ
原作は西川美和の同名小説 『永い言い訳』(2015)。著者自らが脚本・監督を務め2016年に映画化。
人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(きぬがささちお)は、妻が旅先で不慮の事故に遭い、親友とともに亡くなったと知らせを受ける。その時不倫相手と密会していた幸夫は、世間に対して悲劇の主人公を装うことしかできない。
そんなある日、妻の親友の遺族–トラック運転手の夫・陽一とその子供たちに出会った幸夫は、ふとした思いつきから幼い彼らの世話を買って出る。保育園に通う灯(あかり)と、妹の世話のため中学受験を諦めようとしていた兄の真平。子供を持たない幸夫は、誰かのために生きる幸せを初めて知り、虚しかった毎日が輝き出すのだが…。(C)2016「永い言い訳」製作委員会
予告動画
個人的感想・評価
アマプラで公開が終了する間際の西川美和監督縛り4作目。ゆれる・ディア・ドクターと同じく再視聴。
同じ頃に見たと思われる福山雅治✕リリー・フランキーの映画『そして父になる』(監督・脚本是枝裕和)とストーリーの記憶が混ざってしまっていたようで、とても新鮮に見れた。
今回立て続けに西川美和監督作品を見てつくづく、意地悪なヒトやなと思う。(←褒めている)
近しい人を突然亡くした時、残された方は悲しみにくれて憔悴する。失意の中、子供らとのふれあいで再生していく⋯それなら美談。まぁでも西川美和はそんな風には描かない。
自分本位のクズ男・衣笠幸夫を演じた本木雅弘と、彼を一目はばからず「幸夫ちゃん」と呼ぶ人懐こいトラック野郎・大宮陽一を演じた竹原ピストルの対象的な組み合わせは尊いBLカップルのように神がかっていたし、
プライドの塊のような幸夫が主夫のように、面倒くさいの塊のような自由すぎる子供たちの世話を嬉々として甲斐甲斐しくこなす様はコミカルで、
まるで疑似家族のようなほんわかした暮らしぶりは、妻を亡くしたばかりの男から想像する様子とは程遠い。
「見たら分かるでしょ」なのか「好きに思ってくれていい」なのかは知らんけど、西川美和監督作品の特徴とも言える説明無しのおかげで、考察したがり民がざわざわする絶妙なシナリオになっているところもニクイ。
今回見た4作品の中では一番好きかも。この次の『すばらしき世界』と言い、西川美和監督は毎回テーマを変えては前作をこえる作品を世に出してくるなぁと思う。
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