映画「清須会議」感想:人間ぽさが良い。血の出ない跡目争い
映画「清須会議」の作品情報
放映:2022年 / 138分 / ジャンル: 邦画
原作 / あらすじ
原作は監督・脚本の三谷幸喜。1582年の信長跡目に伴う評定会議(清須会議)をテーマにした同名小説『清須会議』(2012) 三谷幸喜17年ぶりの書き下ろし小説。
天正10年(1582年)本能寺の変。一代の英雄織田信長が死んだ――。跡を継ぐのは誰か?後見に名乗りを上げたのは2人。筆頭家老・柴田勝家(役所広司)と後の豊臣秀吉(大泉洋)。
勝家は、信長の三男でしっかり者の信孝(坂東巳之助)を、秀吉は、次男でおおうつけ者と噂される信雄(妻夫木聡)を、それぞれ信長の後継者として推す。そして、開かれる清須会議――。会議に出席したのは4人。勝家、秀吉に加え、勝家の盟友であり参謀的存在の丹波長秀(小日向文世)、立場を曖昧にして、強い方に付こうとする池田恒興(佐藤浩市)。繰り広げられる一進一退の頭脳戦。様々な駆け引きの中で騙し騙され取り巻く全ての人々の思惑が猛烈に絡み合う!勝家派か?秀吉派か!?(C)2013フジテレビ 東宝
予告動画
個人的感想・評価
歴史の名に残る策士: 秀吉側の視点だけでなく、秀吉と対立することとなった宿老: 柴田側の視点からも描いた時代エンターテイメント。
三谷幸喜らしく、ユーモアを交えた現代語劇なので歴史物が苦手でも全く抵抗なく見れるエンタメ作品。
歴史作品というのは誰を主役にするかで見え方が全然違ってくるのがいいなと思う。昨年放送された「どうする家康」では、家康主役なのであたりまえだけれどさらっと描かれた清須会議の様子が5日間日を追ってじっくり描かれる。
信長の跡目会議…すなわち現代で言えば大会社の相続会議のようなものだと思うけれど、そこにはいろんな立場の人間の欲と恨みも関わり合って一筋縄では行かないわけで…
あの戦国時代の真っ只中で血が出ないのに熾烈な争い。現代に通じる人間っぽさが垣間見えて面白い。
まず冒頭から明智光秀のでか頭に、秀吉(大泉洋)の微妙に目を引く猿耳・絶世の美女:お市の方(鈴木京香)の眉なしお歯黒姿などなど…キャストの見た目で掴まれる。
中谷美紀の意外な田舎妻役: 寧や、佐藤浩市・妻夫木聡をアホとして登場させたり、あの天海祐希をあんなちょい役で!…と王道のキャスティングから少し外しているところも笑いを誘うポイント。
138分と長めだけれど、一見地味になりそうな会議シーンだけでなく、なぜか武将たちのビーチフラッグ大会(旗取り合戦)シーンが挟まれたり、有名な俳優があちらこちらで出てくるのでとにかく豪華だし飽きずに見れる。
終始ではコメディキャラに振り切っていた役所広司のラストシーンでの、見たものをブルッとさせるほどの貫禄はお見事。
「年上の女房は年下のように、年下の女房は年上のように扱う それが円満の秘訣だ」と言う丹波(小日向文世)セリフは名言だった。
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