映画「川っぺりムコリッタ」感想:生きるってそうゆうこと
映画「川っぺりムコリッタ」の作品情報
放映:2022年 / 120分 / ジャンル: 邦画
原作 / あらすじ
原作は監督・脚本の荻上直子の同名小説『川っぺりムコリッタ』(2019)
山田(松山ケンイチ)は、北陸の小さな街の塩辛工場で働き口を見つけ、社長(緒形直人)から「ハイツムコリッタ」という古い安アパートを紹介される。家族も生き甲斐もなく、「ひっそりと暮らしたい」と無一文のような状態で引っ越してきた山田。
ある日、隣の部屋の住人・島田(ムロツヨシ)が風呂を貸してほしいと上がり込んできた日から、山田の静かな日々は一変する。夫を亡くした大家の南(満島ひかり)、息子と二人暮らしで墓石を販売する溝口(吉岡秀隆)といった、なぜだか住人たちと関わりを持ってしまい… 。図々しくて、落ちこぼれで、人間らしいアパートの住人たちに囲まれ、山田は少しずつ「ささやかなシアワセ」に気づいていく― 。Ⓒ2021「川っぺりムコリッタ」製作委員会[邦画コレクション]
予告動画
個人的感想・評価
この作品のタイトルであり、舞台となるアパートの名前でもある謎の言葉『ムコリッタ』
『ムコリッタ』(牟呼栗多)とは、仏教における時間の単位のひとつで、1日(24時間)の1/30、48分を意味する言葉
であると、冒頭にキャプションが入るけれど意図は分からないまま物語は始まる。
おそらく30歳位の役を演じている松山ケンイチの雰囲気は、人生を諦めた風の枯れた青年役にぴったり合わせてあって実年齢との差に違和感は全く感じ無かった。
慎ましい添え物と綺麗に炊けた白飯だけの質素だけど美味い食卓、どこにでもあるような川べりの風景と、やけに荘厳な寺。そこに時おりイカの解体シーンや、ナメクジが這う様子、吐瀉シーンなどのグロいカットが挟みこまれる。
普通なんだけど普通じゃない、普通じゃないんだけど普通。そういうリアリティとファンタジーが絶妙なバランスで描かれているのは荻上直子監督作品ならではの空気感。
掴みどころのない役でもすんなり演じ分けられる吉岡秀隆の安定の演技力はもちろんのこと、骨を弄る満島ひかりのレアな艶めかしいシーンもかなり印象深い。
驚いたのは隣人 島田役のムロツヨシ。体重を増やして挑んだと思われるだらしない体型と、今まで見たどの役とも違うムロツヨシらしからぬ演技は、もぅ準主役と言って良いほどだった。個人的に、ムロツヨシどうも苦手やったけどイメージ変わったのは荻上直子監督のマジックか。
物語が進むとともに明かされていく山田の過去とは違い、島田の過去は最後まで明かされない。けれど、今の山田の雰囲気からは想像できないヒドくツライ過去があったのは間違いない。
でも、生きているものにも死んだものにも辿った過去は間違いなく皆にある。
この作品は、生と死とその狭間みたいなものがテーマだと思うんだけど、謎の言葉『ムコリッタ』の意味も最後にきちんと回収されて、そうそう生きるってそうゆうことなのよねと感じさせられた。
江口のりこや薬師丸ひろ子、それから魂がポヨンポヨンと飛び回っているようなエンディング曲を作った元たまメンバーの知久寿焼の出演シーンもウォーリーを探せ的でニクイなぁ
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