映画「こんな夜更けにバナナかよ」感想。最強の障害者がいた
映画「こんな夜更けにバナナかよ」の作品情報
公開:2018年 / 120分 / ジャンル:邦画
原作 / あらすじ
原作は鹿野靖明(しかの やすあき、1959年 – 2002年)を取材した渡辺一史のノンフィクション書籍『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』(2003年)
北海道札幌市。鹿野靖明は幼い頃より難病の筋ジストロフィーを患い、体で動かせるのが首と手だけ。
24時間365日だれかの介助がないと生きていけない体にも関わらず、医師の反対を押し切って病院を飛び出し、自ら集めた大勢のボラ(ボランティアの略称)たちと、自立生活を送っている。
夜中に突然「バナナ食べたい」と言い出したりする自由すぎる鹿野を介助するボラの一人、医大生の田中はいつも振り回される日々。
ある日たまたま鹿野宅を訪れた田中の恋人・美咲まで新人ボラに勘違いされてしまう。
おまけに鹿野は美咲に一目ぼれし、田中は彼の代わりに愛の告白まで頼まれる始末!最初は戸惑う美咲だが、鹿野やボラたちと共に時間を過ごす内に、自分に素直になること、夢を追うことの大切さを知っていく。
ところが鹿野が突然倒れ、命の危機を迎えてしまう…。
(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会
予告動画
個人的感想・評価
幼少期に全身の筋肉が衰えていく筋ジストロフィーを発症し、24時間介助を必要とする鹿野靖明(大泉洋)は障害者であることに少しも臆していない
それどころか、夜中に「バナナが食べたい!」などとまるで王様のように振る舞う鹿野に振り回されながらも寄り添い続けたボランティアたち(萩原聖人)
そこへ、医学生の田中(三浦春馬)と恋人の美咲(高畑充希)がボランティアとして加わることになり… という話
だんだんと鹿野を好きになる
鹿野が寝たきりながらも口と頭をフル回転し、意思や欲求を通し、遠慮なく怒りまでボランティアたちにぶつける様子は「障害を盾にとったわがまま」に見える
でもそれこそが、「障がい者なんだからそんなに偉そうな訳がない」と思いこむ 健常者側のエゴだと痛感させられる話
障がい者だっていろんな人間がいて当たり前
動けないんだからしょうがないじゃん
と言い、健常者以上に自分の夢や欲に素直に生ききる鹿野を見ているうちに、こちらの方がはっとさせられることが多くだんだんと鹿野を好きになってくる
きっとボランティアの人々も、彼を支えながら鹿野の生き様と人間性にいろいろな角度から支えられていたのだろうと思う
お涙頂戴じゃないのが良い
障がい者がみんな鹿野のように強い精神を持っているわけでもないし、介助者がこんなに献身的でなくてもいい
でも、こういう筋ジス患者の男もいたんだよという話でいいのだと思う
実在の鹿野靖明さんは2002年に43歳で亡くなられており、実話ベースのこの作品でもそのようなストーリーになっている
けれど、大泉洋が演じることによって、決してボランティアとの感動悲話に描かれていないのが良かった
わがままで素直で明るい鹿野と、イメージがぴったり合う大泉洋のキャスティングとその演技力はあっぱれだった
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