映画「市子」:怖い怖い怖い。魔性の母娘のホラー作品
映画「市子」の作品情報
放映:2023年 / 126分 / ジャンル: 邦画
原作 / あらすじ
脚本は監督も務める戸田彬弘。自身が主催する劇団の旗揚げ公演作品でもある『川辺市⼦のために』(2015)
川辺市子(杉咲 花)は、3年間一緒に暮らしてきた恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に、突然失踪。途⽅に暮れる⻑⾕川の元に訪れたのは、市⼦を捜しているという刑事・後藤(宇野祥平)。後藤は、⻑⾕川の⽬の前に市子の写真を差し出し「この女性は誰なのでしょうか。」と尋ねる。
市子の行方を追って、昔の友人や幼馴染、高校時代の同級生…と、これまで彼女と関わりがあった人々から証言を得ていく長谷川は、かつての市子が違う名前を名乗っていたことを知る。そんな中、長谷川は部屋で一枚の写真を発見し、その裏に書かれた住所を訪ねることに。捜索を続けるうちに長谷川は、彼女が生きてきた壮絶な過去と真実を知ることになる。(C)2023 映画「市子」製作委員会
予告動画
個人的感想・評価
注目を集めすぎた民放ドラマ『アンメット』と同じ配役(杉咲花✕若葉竜也)ということで、見るのをしばらく保留していた作品。
今回の杉咲花は、『アンメット』で見せたふんわりとしつつも芯の強い白い女性役とは180度違う、黒い役。
杉咲花は子役時代の『夜行観覧車』や『映画 楽園』のように、あどけない顔立ちと相反するような役柄の方が演技力の凄さが分かる憑依系の俳優だと思う。
本作品でも、無戸籍によって宙に浮いた自分のアイデンティティや、他者から受ける愛情や注目への渇望だけに支配されているような淀んだ市子の半生を、実際に存在するかのような生めかしさで演じていたのはさすがだった。
ただ、ストーリーとしては市子にも、それを取り巻く登場人物にも1mmも共感できなかった。
経済的に男に依存して生きる母親と、自分に好意を持つ人間に寄生して生きる市子。私からは、この母娘は魔性にしか見えないわ。
こう生きるしか術が無い社会的弱者やと言われればそれまでやけれども個人的に、底辺をテーマにしたら、なんか評価上がるみたいな風潮はもういい加減終わってほしいと思う。
DVを発端とする無戸籍子問題や、シンママ&障害児家庭の貧困、性的虐待などの背景で「市子」に同情を誘っているけれど、冷静に見ればやっていること全てが自己保身の為だけの恐ろしく身勝手な行動の数々でしょうよ…。
特に市子に関しては、自分への好意を利用してコントロールするあたり、昔見た『ドラマ 白夜行』の雪穂(綾瀬はるか)を彷彿とさせる。
母娘の鼻歌がマジ怖い怖い怖い…。これは、ホラー作品に分類したい。
いろんな作中で杉咲花が何かを美味しそうに食べているのは、ほんまに彼女が食べるのが好きな人なんやろなと思う。
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