
映画「銀平町シネマブルース」:好きだけでいいじゃないか
映画「銀平町シネマブルース」の作品情報
放映:2023年 / 99分 / ジャンル: 邦画
原作 / あらすじ
脚本は『苦役列車』(2012)のいまおかしんじ。廃業間近の名画座で繰り広げられる人間模様を描いたオリジナル脚本。
かつて青春時代を過ごした町・銀平町に帰ってきた一文無しの青年・近藤は、ひょんなことから映画好きのホームレスの佐藤と、映画館“銀平スカラ座”の支配人・梶原と出会い、バイトを始める。
同僚のスタッフ、老練な映写技師、個性豊かな映画館の常連客との出会いを経て、近藤はかつての自分と向き合い始めるが……。(C)2022『銀平町シネマブルース』製作委員会
予告動画
個人的感想・評価
失礼ながら目立つところはあまりない、ふとすれば埋もれてしまいそうな作品。でもそういう映画が見たい時もある。
制作陣の城定秀夫(監督)・いまおかしんじ(脚本)ともに知らなかったけれど、ピンク系をめちゃくちゃ手掛けるところからキャリアを積んだベテランで、城定秀夫監督においては近年は河合優実出演作『 愛なのに』などでも有名な監督のよう。
主演は、しばらくご無沙汰していたら三浦貴大みたいになっていた小出恵介。吹越満・宇野祥平と癖のあるバイプレイヤー共演にしてはめずらしくほっこり系作品。
この作品の舞台となる「銀平スカラ座」は、主に単館系新作を上映するミニシアターとは違って、主に旧作品をメインに上映する映画館のいわゆる名画座。
制作陣の映画愛が溢れんばかりで、「映画が好き」というセリフが何度も何度も出てくるし肝心要の未完だったホラー映画がB級過ぎるのもご愛嬌。
映写技師(渡辺裕之)とのワルツシーンや、ミュージシャン白川(本物のジャズトランペッター黒田 卓也)の奏でる音色が当たり前に素敵で、ほんのり切ないヴィンテージ映画の様な演出も名画座へのリスペクトに思える。
何もかも違う面々でも、同じものが好きだと言うだけでこんな繋がれるほど好きの力は強いらしい。
スケープ・ゴート的な役回りの生活保護ブローカー(浅田美代子)以外は、全員良い人なので、淀んだものを見たくないお疲れ気味の時におすすめしたい作品。
出演シーンは少ないながらもこの作品でとても記憶に残る役だった渡辺裕之。私の中での渡辺裕之出演作の記憶が、この作品に塗り替わって良かったなと思った。
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