ドラマ「天皇の料理番」感想: 脇が完成度を上げた大作
ドラマ「天皇の料理番」の作品情報
放映:2015年 / 全12話 / ジャンル: 国内ドラマ
原作 / あらすじ
原作は杉森久英による宮内省大膳職司厨長(料理長)を務めた秋山徳蔵の青年期から主厨長になるまでを描いた同名小説『天皇の料理番』。TBSテレビ60周年特別企画ドラマ
佐藤健主演。直木賞作家・杉森久英の「天皇の料理番」が原作。
片田舎の青年が天皇の料理番を勤め上げるまでに成長する、史実に基づいた究極の人間愛の物語。(C)杉本久英 (C)TBS
個人的感想・評価
- 寺からも破門になってしまうような辛抱がきかず癇癪持ちの秋山篤蔵(佐藤健)は、行く末を心配した親に、海産物問屋の娘:俊子(黒木華)の婿養子にさせられたが、炊事軍曹の作るカツレツの味に衝撃を受け「料理人になる」という夢の為に俊子を残し上京してしまう。
- 東京では<一流西洋料理店: 華族会館>や<大衆食堂: バンザイ軒>で様々な人と出会い、紆余曲折を経ながら料理人の心を学び腕を上げたが、俊子との離縁や病魔に冒されていた兄の思いを受け、単身パリに料理修行に渡った。
- パリで小僧として働きだして間もなく頭角を現し、3年後にはフランス料理の最高峰ホテル・リッツで働けるほどとなった篤蔵は、宮内省から大正天皇即位行事料理の指揮してほしいとの要請を受け帰国し、俊子とも再会する・・
放送当時(2015年)は、鈴木亮平の役作り(撮影に合わせて20㌔の減量→その後、別の役作りのために30㌔増量)が話題になった記憶だけど視聴したのは初めて。
天皇の料理番、減量で「水飲まない」鈴木亮平のストイックすぎる役作りとは? | マイナビニュース
実在した日本の料理人「秋山 徳蔵」の青年期から老年期までを佐藤健が一人で演じるNHKの朝ドラ方式。
時代設定も明治・大正・昭和に渡る上京編・パリ編・宮内庁編と3部構成に、ぞれぞれ拡大版がある全12話と民放ドラマとしてはめずらしい長尺で見応えたっぷり。
とにかく徳蔵が、料理以外にはどうしようもない人間すぎてイライラするけれど、『らんまん』のモデルとなった植物学者 : 牧野富太郎しかり、一つの事で世に名を残すような人はみんなある種の変態なんやろうなと思った次第・・。
男が大成するのに<あげまん妻の力あり>と言う点でも、『らんまん: 寿恵子(浜辺美波)』のような存在で有り続けた『妻 :俊子(黒木華)』の物語でもあったのがポイント。
寿恵子の太陽のような力強さとは対象的に、影からしっかり支え続ける妻: 俊子を演じた黒木華は(普段の役よりも)愛らしく魅力的に映っていてはまり役だった。
このドラマは他にも、一生絵描き志望のままでも憎めない桐谷健太や、堅物のまごころ料理人小林薫、スケベな熟女高岡早紀などなど(郷ひろみまで出ていたの驚き!!)・・キャストが豪華なはまり役揃いでドラマの完成度を上げていたと思う。
いよいよ宮内庁での料理番を描いた後半では、現代とは全く違う料理人の職業地位や、アメリカ敗戦を経た当時の日本人にとっての天皇の存在についても考えさせられた。
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