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映画「エゴイスト」感想。愛は究極に優しい利己主義
脚本: 松永大司 / 監督: 松永大司 /放映:2022年 / 120分 / ジャンル: 邦画
ざっくりこんな話
あらすじ
原作は高山真(2020年没)の自伝的同名小説『エゴイスト』
個人的感想・評価
前半は想像よりも艶めかしいベッドシーンが多くてちょっと引いたけれど憑依型俳優の鈴木亮平が演じるゲイは期待を裏切らない自然さで素晴らしかった。
美形の若いゲイ・龍太(宮沢氷魚)に恋した浩輔はいじらしく、リアルゲイをキャスティングした仲間達と過ごす時間は面白おかしく、お金でも愛情を示そうとする行為はどこか不器用で、龍太を失った絶望の淵にいる浩輔は切ない。
田舎ではゲイであることをひた隠しながら生きてきた浩輔は、東京で服という鎧を手にして自由になった。だから、悲しみにくれればくれるほど、着飾る服を選び、丁寧に眉を書く。そんな浩輔が裏悲しい。
「エゴイスト」とは自己中心的な人、利己主義者のことで良い意味で使われない言葉だと思う。
この自伝的小説の主人公・龍太に著者・高山真が自らを重ねて皮肉ったタイトルだと思うけれど、愛を与える行為は利己主義で、皆エゴイストなのだと思う。
愛してやまなかった龍太への贖罪と早くに亡くした自分の母への後悔を、また愛という形で今度は龍太の残した母へ注ぐ行為は誰にでもできるものではない。浩輔は究極に優しいエゴイストだと思った。
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