映画「渇水」感想:<水の匂い>を感じてしまう。
映画「渇水」の作品情報
放映:2022年 / 100分 / ジャンル: 邦画
原作 / あらすじ
原作は、河林 満が市職員として働きながら書かれたとされる同名の代表作『渇水』(1990年)。
日照り続きの夏、市の水道局に勤める岩切俊作(生田斗真)は、同僚の木田(磯村勇斗)とともに来る日も来る日も水道料金が滞納する家庭を訪ね、水道を停めて回っていた。
妻(尾野真千子)や子供との関係もうまくいかず渇いた日々。県内全域で給水制限が発令される中、岩切は二人きりで家に残された恵子(山﨑七海)と久美子(柚穂)の幼い姉妹と出会う。
父は蒸発、一人で姉妹を育てる母(門脇麦)も帰ってこない。困窮家庭にとって最後のライフラインである“水”を停めるのか否か。葛藤を抱えながらも岩切は規則に従い停水を執り行うが―。©「渇水」 製作委員会
予告動画
個人的感想・評価
白石和彌監督の初プロデュース作品で、主演の生田斗真が地味な役を演じるという前情報で公開前から気になっていた作品。
原作の『渇水』はなんと30年前の発表作。
作者の河林 満という小説家は、公務員として27年勤務しながら創作を行った遅咲きの作家で、2008年に57歳で亡くなってしまった為、2度の芥川賞候補になりながらも唯一単行本化された作品のようである。
この希少な名作に惚れ込んだ高橋正弥監督が、なかなか映画化にこぎつけられず10年も温めた脚本らしい。・・そんなこんなで、なんだか制作者の熱を感じる作品。
平凡な公務員を表現するために、生田斗真の肌をシミだらけに悪く変えたり、水を止められた姉妹の唇がカピカピに渇き切っていたりと、渇きを表現する演出も丁寧だった。
水道局員の実情がものすごくリアル。
水道ってこうやって強制停止されるんだと初めて知った。(あの水道栓を止めるのには水道局員しか持たない鍵のようなものがあるんだろうか?)
今はずいぶん事情が変わったけれど、30年前の公務員と言えば、型通りの仕事しかしない上から目線の公務員 vs 「お前ら税金で食ってんだろ」という市民意識が高かった時代だったと思うけれど・・
それにしても訪問してくる水道局員に対しての、滞納者の態度が皆そろいもそろって横柄極まりない。
来る日も来る日も、あんな人間の対応をしながら(正当な理由があるとは言え)ライフラインの水を止めるという殺生な業務をこなし続けていたら、
後輩の木田(磯村勇斗)のようにある程度ちゃらんぽらんにこなすか、岩切(生田斗真)のように無心になるかどちらかでないとメンタルがやられるのは当然である・・。
母親(門脇麦)に取り残された姉妹は是枝裕和監督の『誰も知らない』と重ねてしまう切実さで、調べてみると原作では同様にサッドエンドになっているらしい。
映画化では岩切と共に希望がうっすら予感できる終わり方に改変されていて(原作者の意図とは違うかもしれないけれど)視聴側としては救われるなと思った。
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