映画「死刑にいたる病」感想:最も恐ろしいのは沼…
映画「死刑にいたる病」の作品情報
放映:2022年 / 129分 / ジャンル: 邦画
原作 / あらすじ
原作は櫛木理宇のサスペンス小説『チェインドッグ(2015) 』(2017年に『死刑にいたる病』に改題)
ある大学生・雅也のもとに届いた一通の手紙。 それは世間を震撼させた稀代の連続殺人鬼・榛村(はいむら)からだった。 「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ。犯人が他にいることを証明してほしい」。
過去に地元のパン屋で店主をしていた頃には信頼を寄せていた榛村(はいむら)の願いを聞き入れ、 事件を独自に調べ始めた雅也。 しかし、そこには想像を超える残酷な事件の真相があった-。(C)2022映画「死刑にいたる病」製作委員会
予告動画
個人的感想・評価
阿部サダヲの虚無過ぎる目つきが気になっていた作品がアマプラ落ちしてきたので視聴。
レビューでグロイグロイと連発されていたのでその気で観たら、その通り最初から最後まで何度もキツめなシーンが出てきたので、そもそも受けつけない人にはオススメしない。
まぁでも、阿部サダヲ演じる連続殺人鬼: 榛村(ハイムラ)は、人間性はぶっ壊れているけれど、IQが超絶高く、人をマインドコントロールすることに長けており、まさに息をするように殺人を犯すサイコキラーで、その榛村の二面性と残虐性を表現するためには必要不可欠なシーンだと思う。
阿部サダヲ・岡田健史(水上恒司)・岩田剛典と、世間から好感度高めな俳優のイメージをわざと裏切ったような監督のキャスティングは気持ちいい。特に、がんちゃん(岩田剛典)はヒドイ
けれど…3人ともゾーンに入ったような演技が冴えていた。なかでも、雅也役の岡田健史(水上恒司)は良かったと思う。
彼のことは、朝ドラ『ブギウギ』の愛助 役で絶命間際のシーンが鬼気迫る演技だったので印象に残っていた。今作『死刑にいたる病』では、好青年の愛助とは真逆の鬱屈した青年役。
榛村の犯した殺人の経緯を取り憑かれたように調べ、榛村と面会を重ねる内に人間性が変わってくる様が、抑えた演技ながら表情や声のトーンでかなり上手く表現されていたと思う。
榛村の狂行よりも最も怖いのは、マインドコントロール誘導による沼だと思った。
まるで『羊たちの沈黙』のレクター博士のように、阿部サダヲは刑務所の面会房の中から語りかけるのみだけれど、最後の最後まで二転三転する展開があって考察で盛り上がりそうな作品。
ちなみに、白石和彌監督は、『凶悪』や『孤狼の血』が有名すぎて
まるでグロい系監督と思われているかも知れないけれど、拷問シーンの撮り方も上手いだけで、そうではない作品もたくさんあることを忘れないでほしい。誰にでもある「人の表裏」を表現するのが上手い監督だと思う。
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