映画「茜色に焼かれる」感想:母とは謎生物である。
映画「茜色に焼かれる」の作品情報
放映:2021年 / 144分 / ジャンル:邦画
原作 / あらすじ
監督の石井裕也による、理不尽な交通事故で夫を亡くし社会的弱者となりながら息子を育てる母親を描いたオリジナル脚本。
「まあ、頑張りましょう。」その一言で日々のやるせない感情を鎮めて日々を過ごす母・田中良子。
幼い頃に交通事故で父を亡くし、混沌とした時代と社会の中で、実直に自らの正義を見出さんとする中学生の息子・純平。
母ひとり、子ひとり、互いの日常を取り巻くことごとく理不尽な出来事に、張り裂けそうな想いを抱えてこの世界を生きている。
どんな困難でも、何が起ころうとも、それでも前を向き、信念を貫ける理由とは?これは、圧倒的な愛と希望の物語。(C)2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ
予告動画
個人的感想・評価
コロナ禍に公開された、コロナ禍を舞台にした作品。
いわゆる上級国民が起こした交通事故とちまたで騒がれたあの事件をフックにしており加害者側も「カネさえ払えば文句はないだろう」と言うような横柄な態度ではあるけれど、
多額の賠償金を拒否し、加害者老人の葬儀に参列しようとして追い返された良子にはしょっぱなから疑問符が湧く。
そのうえ、夫の負の遺産を引き継いで支払い続けるために、自らは客に年増と下されながらも風俗で働いている・・・
前を向いて必死に生きているいるというよりは、子供を守り育てる部分以外の 何か感情の大事な所が壊れているとしか思えず全く共感できない人(特に女性)が多いのではないかと思う。
登場する大人は、基本的にオカシイ人間ばかりで唯一まともなのは、良子の中学生になる息子:純平(和田庵)のみである。
監督が自身と同じ37歳にして逝去した母親を想って作ったと言われるこの作品は、息子の純平から見た母親像から始まり、息子の視点で終わる。
元アングラ女優だったらしい良子が演じる一人芝居のラストシーンは純平と同様に空いた口が塞がらない。
息子から見た母親と言うものは、やっぱり永遠に謎の生物なのだなと思う。
ちなみに、鬱映画と言うレビューが多かったけれど、そんなことは無い。
結果的に、汚れも含めて女の全部を剥き出しにしたようなこの役はオノマチにしか出来ないかなと納得した。
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