映画「幼な子われらに生まれ」感想。平凡な幸せ…という呪縛
映画「幼な子われらに生まれ」の作品情報
公開:2017年 / 127分 / ジャンル:邦画
原作 / あらすじ
原作は、直木賞作家重松清のステップファミリーを多角的な視点で描いた同名小説(1996年)
血のつながらない家族、血のつながった他人― つまずき、傷つきながらも幸せを紡いでいく大人たちの、アンサンブルムービー。
バツイチ、再婚。一見良きパパを装いながらも、実際は妻の連れ子とうまくいかず、悶々とした日々を過ごすサラリーマン、田中信(浅野忠信)。
妻・奈苗(田中麗奈)は、男性に寄り添いながら生きる専業主婦。
キャリアウーマンの元妻・友佳(寺島しのぶ)との間にもうけた実の娘と3カ月に1度会うことを楽しみにしているとは言えない。実は、信と奈苗の間には新しい生命が生まれようとしていた。
血のつながらない長女はそのことでより辛辣になり、放った一言―「やっぱりこのウチ、嫌だ。本当のパパに会わせてよ」―。
今の家族に息苦しさを覚え始める信は、怒りと哀しみを抱えたまま半ば自暴自棄で長女を奈苗の元夫・沢田(宮藤官九郎)と会わせる決心をするが…。
予告動画
個人的感想・評価
父や母だって、ちゃんとした大人なわけじゃない・・・そんな話で、浅野忠信が普通の夫を演じるのが新鮮すぎた
「平凡で幸せな家族」という呪い
ステップファミリー(子連れ同士の再婚)&血の繋がらない子供との確執という、どこにでもあるような家族問題のリアルなストーリー
・・なんだけど、信の視点から見ると子供を宿して大きく張った腹をかかえる妻の存在がなぜかホラーに見える
本音をさらさず無理をしている夫(浅野忠信)に気づかないふりをし、悪化をたどるばかりの長女と信の関係も、子供さえ生まれればうまくいくと根拠なく思い込んでいる妻(田中麗奈)
子供や家庭を盾に、女の弱さを武器に、夫(男)に強く依存する妻の怖さよ・・(T_T)
DVとギャンブル狂いだったという元夫(宮藤官九郎)も、依存妻が押し付ける平凡で幸せな家庭呪縛から逃げたという本音をもらすほど
浅野忠信が演じる普通の夫像?
新しい家庭の為に家を買った後、左遷されていることも言えず、前妻の子供に懐かれず、妊娠妻は現実を見ない・・・と
一見かわいそうに見える信も、そうでもないところがだんだんと垣間見えてくる
家族の問題をテーマにした作品に、異色を放つ配役だと思った浅野忠信だけど、
激昂した時に放つ冷徹な言葉とその様子は、あぁこの役は浅野忠信しか出来ないなと納得した
どんな役でも、演じてなさそうに見える浅野はやっぱ凄いなと思う
この作品のシンボル的な、山の上の新興住宅地へ駅から一直線の斜行エレベーターが、若いころによく目にしていた 西宮の名塩ニュータウンがロケ地に選ばれているところは少し嬉しい
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